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2019年01月25日 | Posted by ギャラリーチーム

エプサイト・芦谷淳写真展 「~余白~」

こんにちは 2019年、いよいよ「平成」も残り僅かとなりましたね。エプサイトでは先週1月18日より芦谷淳さんの写真展「~余白~」を開催しております。今日はその様子をご紹介しますね。

まずは作家の芦谷淳さんについて。。。 芦谷さんはフリーランスのフォトグラファーとしての活動と並行し、「モノクロランドスケープ」と「山岳」をテーマに写真作家として活動を行っています。実はエプサイトで展覧会を開催されるのは今回で2回目。2015年に開催された「NEW FARMSCAPES」では「自然と人工物の融合」をテーマに、農場を被写体とし、画面構成の美しい洗練されたモノクロ作品を展示されました。

今回の作品の舞台は北海道です。雄大な自然を有する北海道は日本を代表する農業大国ですが、他の日本国内の地域と同じように、今、離農と過疎化が進んでいると言われています。
芦谷さんは、人が去り廃屋となった住居や、かつて農作業のために使われていた小屋や酪農用サイロなど、道内各地に点在するこういった開拓の歴史を物語る建物を、スクエアフォーマットの中に納めました。

A1▲芦谷さんが道北・幌加内町にて最初に撮影した1枚。この建物に出会ったときに芦谷さんは(被写体として)なんて美人なんだろうと、感じたそうです。

芦谷さん:元々北海道が好きで90年代から何度も来ています。その頃木造の建物や作業小屋は当たり前にそこら中にあって、当時そういった建物に向けてシャッターを切ることはありませんでした。ところが2000年代以降こういった建物は徐々に見かけなくなりました。今ではめったに見られず、車で走りながら1~2時間探しても、まったく出会わないこともあります。自然の厳しさゆえに、建物は耐用年数が過ぎて人が住まなくなったらすぐに傷んでしまうのです。「北海道」というと雄大な美しい風景をまずは思い浮かべますが、こういう実態もあるんです。

建物に向き合い撮影しているときは、様々な思いが浮かんでくると芦谷さんは語ります。

芦谷さん:ここにどんな家族が暮らしていたのか、ここから学校に通っていた子もいるのか、極寒の地に入植して、何代ここで人が過ごしてきただろうか、とか、、、 家屋がかつて人と共に過ごした時間や歴史を思わずにはいられないですね。

Img_7505_3▲作品総点数はなんと397点。北海道産の稲の品種のひとつ「きらら397」にちなんで決められたとのことです。足掛け4年、ひとつひとつの建物に向き合い緻密な記録を続けてきた芦谷さんに頭が下がる思いです。プリントはご自宅で所有される大判プリンター・エプソンのPX-H9000で制作されています。

芦谷さんの今回の作品について、エプサイト公募展の選考に携わっている写真家の北島敬三さんとフォトキュレーターの小高美穂さんは以下のようにコメントを残しています。一部抜粋し、ここに引用させていただきます。

北島敬三さん:それぞれの写真は、北海道開拓に携わった人々の個別な物語を潜在させ、交換不可能な単独性を帯びている。このドライな記録写真を見る者がその想像力を向けるべき先は、これらの小屋に暮らした人々のあり様と北海道という土地の歴史なのだと思わずにはいられなかった。

小高美穂さん:開拓の歴史がこれらの風景から垣間見える。こうした歴史的な記録はやはり写真というメディアだからこそ留めておけるもので、その手段としてできるだけ主観を排したスタイルを取ったことは、正しい選択だったように思われる。考現学的な面白さに加えて、写真としての魅力がある。

この展覧会を通じて、芦谷さんが伝えたかったことについてお聞きしました。

芦谷さん:一つ一つの家屋に歴史があったことを想像しながらご覧いただけると嬉しいです。作品を通じて考えるきっかけやヒントを作るのが写真家の仕事だと思っているので、なるべく客観的に、ドキュメンタリーとして成立させることを心に留めていました。

Img_7509▲ギャラリー内に掲示しているキャプション。赤い点で示されているのが建物の撮影地です。芦谷さんはこの赤い点が、いずれまた訪れたときに「余白」になっていないようにと願いを込めて、そのまま作品のタイトルとしました。

芦谷さん:今回の作品を作るうえで一番苦労したのは、被写体を探すことです。本当にどんどん無くなってきている。実は当初もっとタイポロジー的に建物の形でまとめる方向でも考えていたのですが、まずはとにかく遺っている建物を全て撮ろうと切り替えました。今撮っておかないと、無くなってしまうかもしれませんので。
あと、これだけ数があるのでデータの整理は大変でした。どこで撮ったか分からなくならないように。今はGPSとかありますが、結局GoogleMapやカーナビでポイントを付けたとしても、結局その情報を後で文字に起こすのが大変なので、その場で地図に書き込んでいくやり方が一番でした。

さて話は変わって、今回ギャラリー内では、今回の展示作品を一冊のブックにまとめた作品集も販売しております。

Img_7501▲ハードカバーで、ケースまでしっかりついた本格的な写真集。実はなんとエプソンの製本キット「かんたん手作りブック」で制作されています。

Img_7504▲「かんたん手作りブック」はプリントした作品をそのままカバーに挟んで綴じるだけ。ご自宅のプリンターで制作できます。 レイアウトもプリントも自由です。今回用紙はエレコムの両面マット紙を使用されています。それにしても、美しい仕上がりです。

芦谷さん:オンデマンドの印刷で作品集を作ったこともあるけど、レイアウトとか大変だった割に、最後の仕上がりがあまり納得いくものではありませんでした。注文して作るものは結局最後まで自分で出来ませんが、この製本キットのスタイルは紙も好きなものを使えるし、最初から最後まで全部自由に自分で出来るところが気に入っています。作品をそのまま綴じることができるので、手元に置いておけば、自分の作品の記録帳としても活用できます。ただ、エプソン純正で両面の写真品質の用紙があればなおいいですね。

子供の頃から写真に親しみ「仕事も写真、趣味も写真、全部写真」と語る芦谷さん、写真で出来る事を突き詰め、楽しんで取り組む姿勢には、いつも清々しさを感じます。
展覧会は31日(木)の14:00まで開催しております。ぜひ、ギャラリーで芦谷さんの作品をご堪能ください。皆様のご来場を心よりお待ちしております。

エプサイト 
芦谷淳写真展 「~余白~」

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