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2016年06月30日 | Posted by フク

フォトグラファーズレポート ~米屋こうじさん~

みなさんこんにちは、フクです。

今回のフォログラファーズレポートは、米屋こうじさんにお話を伺いました。

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<米屋こうじ(よねやこうじ)さんプロフィール>

1968年 山形県天童市生まれ

東京工芸大学短期大学部卒業/安達洋次郎・真島満秀の助手を経て

1993年よりフリーランスに

1994年よりアジア各国の鉄道を訪ねる旅に出かける

公益社団法人 日本写真家協会(JPS) 会員

~鉄道への興味~

フク:「米屋さんが鉄道写真を撮り始めたのは、鉄道への興味と写真への興味、どちらが先だったのでしょうか?」

米屋さん:「そもそもどちらが先というのはなく、実に自然な流れで興味が湧いていました。強いて言うなら鉄道だと思います。もともと私の母が山形県を走る奥羽本線天童駅の売店に勤めていたので、小さい頃から駅が身近にありました。よく駅のまわりで遊んだり、駅に入ってくる列車を見たりしていました。また祖父が国鉄の職員で、昔は母の勤める駅の駅長をしていたので、鉄道への興味は幼少の頃から自然とありました。そして気がついたら家にあったハーフサイズのコンパクトカメラで列車を撮るようになっていました。」

フク:「確かに身近ですね(笑)。」

米屋さん:「それだけ近い存在でしたし、逆にそこくらいしか遊ぶところがない田舎でした(笑)。」

フク:「本格的に写真を撮ることを意識されたのはどういった経緯だったのでしょう?」

米屋さん:「初めて一眼レフカメラで鉄道を撮ったのは、中学生の頃でした。当時「青春18きっぷ」が登場しまして、5日間ほど友達と愛知県と長野県を走る飯田線に乗りに旅行をしました。この時、家用の一眼レフカメラで写真を撮りました。」

フク:「中学生でいきなり5日間も友達と旅行ってすごいですね。」

米屋さん:「当時は夜行の普通列車も各地に走っていましたので、宿が無くても一晩中列車の中で過ごせたのです。また一緒に行った友達のお父さんも国鉄の職員でしたので、国鉄の保養所を少し安く利用していました。」

フク:「この時は写真撮影が主な目的だったのですか?」

米屋さん:「いわゆる「乗り鉄」です(笑)。撮ることを意識したのは高校の頃になります。きっかけは、扉が自動で閉まらないような古い客車が地元を走っていたのですが、それがお役御免になり新しい車両になったことでした。」

フク:「扉が閉まらない?」

米屋さん:「ええ。昔の客車は座席のある客室と、出入り口のある、いわゆる「デッキ」が分かれていて、デッキの扉が開きっぱなしだったんです。デッキには雨は入り込みますし、冬は雪が吹き込んで積もるような車両でした。夏はデッキに立って、入ってくる風で涼んだりして・・・四季を感じる列車でしたね(笑)。それが安全性の問題で廃車になり、好きだった鉄道の風景が目の前から姿を消してしまったのです。この時写真に撮っておけばよかったという思いや、身近にあった鉄道の何に魅力を感じているかが少し見えた気がして、写真をやろうと思ったのです。」

米屋さん:「また、当時ある鉄道雑誌のグラビアで、客車の中の何でもない日常の光景、それこそお弁当を食べている人や、学生がタバコを吸っているシーンなどで構成された写真が掲載され、衝撃を受けたのを覚えています。私はいわゆる列車の顔と車体が写っている「編成写真」や、風景と列車の写真ばかり撮っていて、そうした日常的な光景の魅力に気付かされたのも理由の一つです。」

フク:「そこから東京工芸大学短期大学部へ入学されたのですね。」

米屋さん:「東京へ行っても鉄道写真を撮りに、よく旅行に行っていました。一つ上の学年に小林紀晴さんがいまして、彼に誘われて報道写真部に入部し、一緒に上野駅へ撮影に行ったりしました。でも、学校全体で鉄道写真をやりたいと考えている人は少なかったと思います。」

~「外へ出たい」から「海外へ出たい」へ~

フク:「東京工芸大学短期大学部を卒業されてからはどういった経緯でフリーランスになったのでしょうか?」

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米屋さん:「卒業後最初の1年は広告写真の事務所へアシスタントとして勤めました。広告の撮影なのでほとんどがスタジオでの撮影になります。すぐに太陽の下、外で撮影をしたいと思うようになり、1年でそこを辞め鉄道写真家の真島満秀さんのアシスタントになりました。」

フク:「真島さんのアシスタントへはどういった経緯だったのでしょうか?」

米屋さん:「広告写真の事務所にいた当時、小林紀晴さんと一緒に撮影した写真がある鉄道雑誌のモノクロページで連載されたのです。そこで調子に乗りまして、よかったら御社で働きたいと申し出たんですね(笑)。編集部では雇えない状況だと断られたのですが、真島さんを紹介してくれました。」

フク:「屋内での仕事から急に解放された感じですね。」

米屋さん:「そうですね。以前の職場では私の上にアシスタントが何人もいましたので、機材やライティングの準備はしますが、カメラを持つことはありませんでした。しかし真島事務所では、いきなりカメラを持たされ、撮影に出されました。また当時は新幹線のぞみが走り始めた頃でしたので、ロケに同行して、新幹線の撮影を経験することができました。」

フク:「ところで真島事務所を3年で退職され、フリーランスになったのはどうしてなのでしょうか?」

米屋さん:「仕事の不満ではなく、「結局僕自身は何がしたいのか?」ということを考えた結果でした。覚えているのは、深夜にロケから帰ってきた時テレビをつけたら大平原を走る列車を空撮のように撮っている映像が流れていたのです。それを見た時に「世界には計り知れないような魅力的な場所がある。海外に行って写真を撮りたい」と思ったのです。真島事務所で海外に行くことは無かったのですが、海外の鉄道をテーマに自分の作品を撮ろうと思い、25歳でフリーになりました。」 

~鉄道は人を気遣うことの大切さを教えてくれる~

フク:「そこから東南アジアの鉄道を撮るようになったのですね。」

米屋さん:「タイがスタートでした。タイという国を選んだのは、鉄道雑誌の編集者に「ひと昔前の日本の鉄道風景が今も残っている」と教えてもらったのがきっかけです。初回はその編集者が再び旅行に行くタイミングで同行させてもらいました。日本では見ることのできなくなった懐かしい鉄道の風景に魅了されました。例えばボックス席で相席になった人同士が仲良さそうに会話をしたり、食べ物を分け合ったりという光景です。束の間の出逢いで家族のようにコミュニケーションをとる姿は、まさに僕が山形の田舎で見ていた光景でした。その大切さや魅力を記録するために通うようになりました。」

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米屋さん:「そういうとかっこいいですが、国内で作品づくりをしようとした時に仕事との切り替えがうまくいかず、作品を撮っていても「これはひょっとしてあの雑誌で使えるかな?」という邪な思いが入ってしまっていたのが理由です(笑)。」

フク:「なるほど。仕事モードと作品モードを切り替えるためにも必要だったのですね。タイで撮影された作品は個展を経て、2003年に「Asian train love」で富士フォトサロン新人賞を受賞されています。また今月新宿のエプソンイメージングギャラリーepSITEにて「ときのしずく」を終えたばかりですが、この写真展についてお聞きしたいと思います。」

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米屋さん:「僕もフリーランスになって約20年ほど経ちましたが、その間に撮ってきた仕事や作品問わず、心に残る写真だなと思うものだけで写真展をしたのが「ときのしずく」です。展示作品に写っている風景は人々の中に蓄積された記憶の中にある風景、そうした時間の蓄積と僕が見続けてきた鉄道風景を展示しました。懐かしさもさることながら、人と人との距離感の温かさや、かけがえのなさを伝えたいという思いです。」

フク:「最後に、米屋さんは鉄道写真を通してどういったことを伝えたいとお考えですか?」

米屋さん:「鉄道は僕に生きていく上で人と人との関わりの大切さを教えてくれたと思っています。僕自身、引っ込み思案で自分から話しかけたりするのは苦手な方ですが、かつての日本やタイを中心としたアジアの列車旅で体験したコミュニケーションによって、今ではむしろ出会いを積極的に楽しむようになりましたし、人に気遣うことの大切さも教えてもらいました。今後も鉄道写真を通してそのあたりを伝えていけたらといいなと思っています。鉄道写真は近年人気が出てきているジャンルだと思います。これから鉄道写真を始める方、以前より撮っている方も含め、一歩ひいて鉄道は公共のものという意識と人を気遣う視野を再確認しながら、より鉄道の魅力を発見したり、豊かな作品づくりを目指して欲しいと思います。」

いかがだったでしょうか?

それではまた、よろしくお願いいたします。

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