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2016年04月11日 | Posted by フク

フォトグラファーズレポート ~新美敬子さん~

みなさんこんにちは、フクです。

めっきり春の陽気となり、都内では桜も散り始めてきてしまいました。4月から新しい生活をスタートさせた方もいるかもしれませんが、まだまだ寒暖の差があったりしますので、体調にはくれぐれもご留意ください。

さて、今回のフォトグラファーズレポートは新美敬子さんにお話を伺いました。

<新美敬子(にいみけいこ)さんプロフィール>

1962年愛知県豊橋市生まれ。

犬猫写真家。主に海外をフィールドとして猫や犬と人々との関係を撮り続ける。

新刊写真集『マルタの猫』(河出書房新社)『ありがとう 猫が贈ることば』(辰巳出版)など著作多数。

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~風景の中にいる犬や猫を撮りたいと思った~

フク:「はじめに新美さんの経歴をお聞きしたいと思います。」

新美さん:「愛知県の特定郵便局に7年6ヶ月16日勤めていました。そもそも写真を撮り始めたのは、自分の飼い猫を撮った写真を郵便局に来るお客さんに見せたら評判が良く、お客様の猫を撮ってあげたのがきっかけです。」

フク:「当時のカメラはフィルムだったと思いますが、カメラの扱い方などは独学だったのですか?」

新美さん:「ほとんどそうですね。ただ高校の時も友達や飼い猫を撮っていたのですが、フィルムを現像するカメラ屋のおやじさんに写真の撮り方というかカメラの扱い方を教えてもらいました。」

フク:「通い詰めて教わるみたいな?」

新美さん:「そうではなく、「今日みたいな日は絞り8、シャッター速度125分の1で撮れる」とか「室内で猫を撮る時の露出はこうだよ」と、毎回ワンポイント教えてもらい、それを蓄積していました。」

フク:「なるほど。そこから写真家に向けて一念発起されたのですか?」

新美さん:「写真を撮りたいとは思っていましたが、写真家という選択肢はありませんでした。郵便局をやめたのは、知人の紹介で「写真の仕事をしたいならうちに来ないか?」というお誘いを受けたのがきっかけでした。それは名古屋の映像制作会社で、車などのコマーシャルを作っているところでした。」

フク:「その会社のカメラマンとして入られたのですか?」

新美さん:「当初は事務仕事の傍らコマーシャル現場の記録撮影の仕事をしていました。」

フク:「制作会社に入られても犬や猫を撮り続けていたのでしょうか?」

新美さん:「そうですね。現在まで続いている犬や猫の作品を撮りたいと切実に感じたのは、海外で出会った猫でした。車のコマーシャル撮影で南フランスへロケに行き、車が走り抜けるシーンを撮影する時に、スチルカメラをスタンバイして狙っていたのです。そうしましたらどこからともなく猫がやってきて、私の足元に絡んできたんです。南フランスの風景とそこに生きる猫の美しさに心を奪われてしまいました。この出会いが猫の写真を撮りたいと思ったきっかけです。」

フク:「郵便局にお勤めの頃は風景と猫というような撮り方はされていなかったのでしょうか?」

新美さん:「どちらかというと猫のポートレートみたいな写真ばかり撮っていて、「風景の中にいる猫」というような撮り方はしていませんでした。」

~写真を撮るスタンスは変わらない~

フク:「フリーになるきっかけは何だったのでしょう?」

新美さん:「制作会社にいる時、会社のカレンダーを全部私の写真で制作したのがきっかけでした。そのカレンダーは得意先にも配られ、たまたまそれを見た出版社の方から声がかかって写真集を出すことになったのです。これがきっかけで少しずつ雑誌関係の仕事が入るようになりました。」

フク:「新美さんは世界各国の犬や猫を撮られていますが。」

新美さん:「海外ロケに行っている間に撮っていました。当時、会社が「世界の車窓から」の犬猫版のような番組を制作することになり、写真撮影と撮影のコーディネートという仕事を担当しました。ですから2か月に1度、海外へ行く機会があり、そこで撮りました。」

フク:「海外で犬や猫の撮影のコーディネートって大変そうですね。」

新美さん:「犬の散歩で飼い主が集まってくる公園などに行って、撮影交渉の繰り替えしです。大変そうだと思われますが、犬猫が大好きなので全く苦ではありませんでした。アメリカに行った時は声をかけた飼い主がハリウッド映画の監督だったり、犬を洗ってからオープンカーに乗せて、ハイウェイをドライブしながら毛を乾かす飼い主がいたり、いろいろな生活スタイルで過ごす犬や猫の姿を見ることができました。」

フク:「そうしたロケの合間にどうやって自分の時間を作って撮影をしていたのですか?」

新美さん:「仕事がお休みの日はもちろんですが、自分の撮影時間は主に朝でした。早めに起きて、クルーが朝食を摂り、午前中の撮影に行くまでが私の時間でした。ですから海外ロケでは、ほとんど朝食は食べませんでしたね。」

フク:「熱中していないとできないことですね。素晴らしいです。」

新美さん:「まさに熱中。とにかく犬や猫が好きで、出会った彼らを日本に連れて帰るわけにはいかないので、写真にして持って帰るという気持ちで撮り続けていました。」

新美さん:「制作会社を退職してフリーになったのは、番組が好評で放送枠が拡張されたことがきっかけでした。それまで何とか一人でやってこれましたが、時間拡張により自分一人では到底無理な仕事量になったのです。当時、並行していた雑誌連載の仕事に影響が出るので、これを機会にフリーになり今に至っています。」

フク:「お話を伺っていますと、チャンスを見事にものにしていると感じます。フリーになってからも順調でしたか?」

新美さん:「コンスタントに雑誌などの仕事をいただけていました。現在も雑誌の仕事がメインになっています。フリーになった当初とあまり変わっていません。」

フク:「それは仕事がですか?」

新美さん:「仕事もそうですが、撮り方とか猫や犬に接するスタンスとか・・・その辺は全く変わっていません。(笑)。」

フク:「変わったとしたらカメラがデジタルになったくらいですか?」

新美さん:「それくらいですね・・・以前は36枚撮りのフィルムを使い切ると、次はどうしようかと考えるタイミングがありましたが、今は無限と言えるくらい撮り続けられるのは大きいですね。あとロケーションハンティングをする際に地図のサイトを使うことでより効率的になりましたね。ストリートビューを見ることで「ここには猫がいる」とか判断できるので便利ですね。」

フク:「ストリートビューを見ただけで猫が撮れるか撮れないか分かるんですか?」

新美さん:「わかりますよ。いくつかポイントがありますが、ひとつは交通量。車の多いところは猫はあまり歩きません。階段が多かったり勾配の有る無しなどで判断します。」

フク:「なるほど。言われてみればそうかもしれません。」

~上手く撮ることができたら飼い主も犬も猫も幸せ~

フク:「現在エプソンイメージングギャラリーepSITEにて開催中の写真展「マルタの猫」についてお尋ねいたします。今回の写真展で展開されている「マルタ」ですが、この場所海外ロケで行った場所だったのですか?」

新美さん:「マルタを知ったのは2000年でした。この時は雑誌の連載を抱えていまして、毎号違う国の猫の姿を見せたいと思っていまして、ベネチアでの撮影後、ちょっと寄れるところはないかな?と思って地図を見ていたらシチリア島の南にあるマルタ共和国という表記に目が留まったのです。」

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新美さん:「初めて見たマルタは、とにかく猫ちゃんがいっぱいでビックリさせられました。そして何より驚いたのは、歩いていると所々にダンボールで作った猫小屋があり、その前に水とドライフードが置いてあるのです。そして、写真を撮っていると必ず近所のおじさんおばさんが声をかけてくださって、「この猫は○○という名前なんだよ」「どこから来たの?」というような話になります。こうした猫は野良猫なのですが、マルタのすごいところは、路上に住んでいる猫が居心地が良さそうなら、そこで暮らせるように面倒を見て、もし病気になったり、身寄りがなくなるとマルタ猫協会という施設で余生を過ごせるシステムがあるところです。」

フク:「日本の野良猫とはニュアンスが異なりますね。特定の飼い主はいないけど、街や地域が一緒になって飼っているというか・・・」

新美さん:「そうですね。これはどこに行っても見ることのできない風景だと感心しまして、撮り続けようと思いました。」

新美さん:「一番最近行ったのは2015年10月、今回の展覧会ではその時の撮影した写真を中心に、思い出深いものを展示しました。写真展の見せ方としては、中心的な役割になる3枚の写真と、猫の毛並やポーズ、背景がバラエティに富むように組んでいます。またセレクトには漏れてしまったけど思い入れの強い写真や、マルタという国が表現できているシーンをひとつにまとめて「猫曼荼羅」という形で展示しています。これはキャンパス地の用紙にプリントして質感も満足しています。見てくださる方に、犬や猫が愛されていることの尊(たっと)さが伝わればなと思っています。」

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フク:「今後の展開として何か予定されていることはございますか?」

新美さん:「これまで私は飼い主の方と話をして多くの犬や猫を撮らせてもらいました。そして写真をプリントして飼い主の方に差し上げますと、大抵の方は「可愛く撮れてるよ」と話しかけながら犬や猫にプリントを見せるんです。プリントを見た犬や猫も喜んでいるような誇らしいような表情をするんです。写真は人間だけではなく犬や猫にも通じるコミュニケーションの道具なんだなって思わされます。」

新美さん:「最近は撮影の講習会などをやらせていただくことも多くなってきています。「飼い主が自分の犬や猫を上手く撮ることができたら、それは飼い主だけではなく犬や猫もきっと幸せだろう」ということを理念にして、写真を撮ることの楽しみを伝えたり、上手くなるためお手伝いをしたいと思っています。」

いかがだったでしょうか?

epSITEでの新美さんの写真展は4月14日(木)までですので、ぜひ足を運んでみてください!

それではまた、よろしくお願いいたします。

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