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« 夏空のレイアウト | メイン | エプサイトにて『写真展の作り方』レクチャー開催! »

2015年08月31日 | Posted by フク

フォトグラファーズレポート ~吉田和生さん~

みなさんこんにちは、フクです。

めっきり朝夕は涼しくなり、秋の足音も聞こえてまいりました。みなさんいかがお過ごしでしょうか?

今回のフォトグラファーズレポートは吉田和生さんをお招きしてお話を伺しました。

<吉田和生(よしだかずお)さんプロフィール>

1982年 兵庫県生まれ。

2004年 滋賀県立大学人間文化学部生活文化学科卒業。

2012年 「群馬青年ビエンナーレ2012」大賞受賞

主な展覧会

2011年 「BankART LifeⅢ」(新港ピア/横浜)

2012年 「MP1 “拡張される網膜”」(G/P gallery/東京)

2013年 「Tokyo 2020」(1 RUE RICHELIEU/パリ)

      「Picturing Plants – 植物のイメージ」(群馬県立近代美術館/群馬)など。

 

~フォトグラファーになる気はなかった~

フク:「吉田さんのホームページやプロフィールを拝見しますと、写真家よりもアーティストが近いのかなと思います。作品もどちらかというと抽象的な作品が多いですよね?このような作品を作るようになったキッカケをお尋ねしたいと思います。」


Yk1吉田さん:「僕はもともと滋賀の大学でデザインや設計を勉強していたんです。専攻はデザイン全般と幅が広かったのですが、僕はプロダクトやグラフィックデザインを中心に勉強しながら写真をやっていました。」

フク:「作品づくりということですか?」

吉田さん:「そうではなく、フィールドワークの記録とか、グラフィックの要素として写真を扱っていました。大学を卒業してしばらく京都のデザイン事務所に勤め、仕事を辞めたあと、写真を中心に制作をするようになりました。」

フク:「フォトグラファーを目指していなかったのですね。」

吉田さん:「そうですね。自分の作品を制作する上でメディアのひとつとしてカメラを選択したという形です。ですからデザイン事務所を辞めて東京に引っ越した後、1年間広告のフォトグラファーのアシスタントをやりましたが、その時もフォトグラファーになろうとは考えていませんでした。」

フク:「京都から東京に移り住んできたきっかけは何だったのでしょう?やはり作品を作る上で東京という場所が必要だったのですか?」

吉田さん:「コンペに参加するなど制作を続けていく中で東京に住んでいる友達とか知り合いが増えまして、仕事を辞めて京都に住み続ける理由もなかったので引っ越してみようと・・・。」

フク:「あてがあったわけではなかったのですね。」

吉田さん:「ええ。広告のフォトグラファーのアシスタントをやっていたと言いましたが、これもコンペの「1_WALL」をやられているガーディアンガーデンのディレクターの方に「仕事がないならやってみる?」と紹介をしてもらって偶然やることになったのです。それくらい何も決めていない状態で上京しました。」

フク:「ここまでの流れですと、カメラや商業写真の勉強は特にされていなかったように思うのですが、いきなり広告のアシスタントになったんですね。」

吉田さん:「そうですね。そのフォトグラファーの方にお会いした時も「僕は写真のことを勉強してきませんでした。広告のフォトグラファーの仕事には興味もないし、将来なろうとも思いません。自分の制作がしたいので土日は休みが欲しいです」といったことを伝えましたが、それでも大丈夫だということで通うことになったのです。」

フク:「相当尖った感じのアシスタントですね(笑)」

吉田さん:「紹介ということもあったのですが、とてもご理解のある方だったんですよ。その事務所には1年程しかいませんでしたが、そこで道具の使い方とか、商業写真の撮り方から進行の仕方など、写真の基礎的な勉強をさせてもらいました。」

~イメージの始点と終点への関心~

フク:「アシスタントをしながら作品を作っていたのですか?」

吉田さん:「その頃「AIR BLUE」を制作していました。」

Airblue
フク:「この作品は群馬青年ビエンナーレ2012で大賞を受賞されましたよね?この作品は福島の森を撮られたそうですが・・・」

吉田さん:「ちょうどアシスタントを辞めた頃に賞をいただきました。受賞した時は嬉しかったですね。「AIR BLUE」は森や山の中を歩きながら撮った写真を多重露光の要領でPhotoshopを使って1枚のイメージに重ねたものです。」

フク:「福島という場所を選んだ理由はなんだったのでしょう?」

吉田さん:「アシスタントをやっていた2010年頃からはじめたプロジェクトなんですが、はじめは富士の樹海で撮っていました。その後、福島に行ってた頃に作品が仕上がってきたのでとても重要なのですが、作品を発表した当初とは違って今、福島という場所を中心に説明するのが適切かどうかわからないんですよね。実際、撮影場所については色々な場所で撮っています。」

フク:「写真を重ねて1枚の作品にするというのはどうしてなのですか?」

吉田さん:「抽象的な話になってしまうのですが、僕は写真に含まれている「時間」とか「空間」に興味ありまして、それを扱いたいと思っていたんです。分かりにくいですよね(笑)例えば目を開けると物が見え始め、目を閉じると何も見えなくなるように、写真もシャッターを切ったその時間の断片だけ定着させます。つまりイメージが始まったり(見えたり)、終わったり(見えなくなったり)するということはどういうことなんだろう?という興味です。「AIR BLUE」では連続した時間や空間を写真で分断すること、断片化されたものを一枚に重ねることによって強制的に再度連続させようと思ったんです。なので最近は特定の場所の記録や、僕がどこから来てどこに向かうという軌跡ではなく、作品がどういった断片から構成されているかを説明するようになりました。」

フク:「なるほど。しかしそうした抽象的な興味はどうやって生まれてくるんですか?」

吉田さん:「映像とかやっていたら自然と生まれてくる関心ではないでしょうか?映像の場合ですとタイムライン上で始まりと終わりというある種時間的なトリミングを常に考えますよね?僕の関心も特別なものではなく、それを写真で考えました。」

フク:「なるほどようやく分かってきました。考え方もそうですが、そうした抽象的な概念を実際手に取れる作品に落とし込んでいく行為は凄いと思います。ちなみに、この重ねて1枚にする時に苦心したことはありましたか?」

吉田さん:「今でも感じている点なのですが、もともと情報量の少ない写真を何枚も重ねていくので、とても造形的なものになってしまい。いわゆる写真的な要素がイメージからでてこなかったことですね。」

フク:「その悩みはどうやって克服されたのでしょう?」

吉田さん:「空って時間や場所など状況によって変化しますよね。撮影した日の天気が良くなければ灰色の空の写真ができるっていうことです。つまり状況が導き出す景色(写真)って美的な意味での良いか悪いっていう観点ではないってことです。だから極論、写真が良くなくてもいい。ただ、作品のひとつの決着点として、画面を空で埋めるっていうことでした。」

フク:「「AIR BLUE」以外にも暗闇の中、突如光が点滅し一瞬映像が見えるような作品もありましたよね?あれなんか僕は面白いなって思ったのですが。」

Ceive
吉田さん:「「Ceive」は一人で比叡山を歩きながらストロボを焚くという映像です。その後につくった、「Latter」は二人で真っ暗な森の中、ストロボを焚いてお互いを撮り合うという映像です。お互いがカメラとビデオカメラを2台持ちながら撮ります。各々のビデオカメラには相手のストロボが焚かれた瞬間、「撮影」を記録しようと思ったんです。この作品も「AIR BLUE」と構造は似ていて、「AIR BLUE」がイメージを縦に重ねるのに対して、「Latter」はタイムラインに並べるというようなものです。」

~プリンターは紙にインクを置く機械~

フク:「吉田さんが作品を作る時は、幾つかのプロジェクトを同時進行で進めていらっしゃるのですか?それともひとつずつ完成させてから次を制作するのですか?」

吉田さん:「同時進行ですね。「AIR BLUE」も「Latter」も「Cieve」も全て終わっていないので、結果的に幾つかのプロジェクトが同時進行というのが現状です。発表はしたけどそれぞれがまだ進行中で、ここでおしまいということは決めていません。」

フク:「インクジェットプリンターで作品を作る上で用紙などは結構こだわられるのですか?」

Yk2吉田さん:「そうですね。作品によって変えますし、ひとつの作品も用紙を変えるとまた別の作品になると思っています。たとえば「Sheet Scape」というシリーズですが、一面青い空を撮った写真を用紙を違えて2枚プリントして縦に並べた作品です。これは表面が光沢、裏面が上質紙のような用紙を使って表と裏にプリントして作りました。面質が異なりますとインクの載り方や発色が変わって、同じデータでも異なる色彩で表現されます。それを縦に並べると水平線と空が重なっている感じに見立てることができるんです。でも実際見ているのは同じ空。二枚の紙の表面ということです。」

フク:「インクジェットプリントならではの表現で、目からウロコというか・・・なんか不思議なスケール感を感じる作品ですね。」

吉田さん:「でもこの作品をプリントした用紙って実はもう生産されていないんですよね。フィルムの印画紙と違って製品のインターバルが短いので紙との出会いも偶然性が伴うものだと思います。」

フク:「吉田さんにとってのインクジェットプリンターは、画家にとっての絵の具のような存在なんですね。」

吉田和生さんウェブサイト http://www.yoshid.info

いかがだったでしょうか?

それではまた、宜しくお願い致します。

 

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