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2015年02月28日 | Posted by フク

フォトグラファーズレポート ~西野壮平さん~

みなさんこんにちは、フクです。

今回で33回目のフォトグラファーズレポートは、現在国内だけにとどまらず海外での展覧会を精力的に展開している写真家西野壮平さんをお招きします。

<西野壮平(にしのそうへい)さんプロフィール>

1982年兵庫県生まれ。

歩くこと、旅を通じて得た個人的体験をもとに作品を制作。

NYの国際写真センター(ICP)のトリエンナーレ『A Different Kind of Order』やスイスVeveyで開催された『Festival Images』での展示をはじめ、オランダの『Foam』誌が選ぶFoam Talent 2013 に選出されるなど、国内外で精力的に作品を発表。

www.soheinishino.com/jp/

 

~ベタ焼きへの興味がDioramaの原点~

フク:「西野さんの手がけているシリーズ「Diorama Map」は、世界各国の都市を歩いて撮影した写真を自身の記憶に沿って貼り合わせ、1枚のジオラマ地図のように仕上げていく作品です。2014年の時点で世界各国18都市が作品化されています。2015年2月に横浜で開催されたカメラと写真の総合展示会「CP+2015」のエプソンブース内でもそのひとつが展示され、圧倒的な迫力で来場者の目をひいていました。まずはこうした作品を作るようになった経緯をお聞かせいただきたいと思います。」

Ns1

Ns2西野さん:「写真に興味を持ったきっかけはいくつかありますが、そのひとつは小学生の頃だったと思います。当時、遠足などの学校行事にはカメラマンが同行して写真を撮っていました。そして1週間くらい経つと学校の廊下にその写真が貼り出されて、申し込むと好きな写真が買えるようになっていました。みんなは自分が写っている写真を買っていましたが、僕は自分が写っている写真の他に、写真として何か面白いなと思えるものも買っていました。今から思い返すとその時から写真に興味を持っていたのかもしれません。」

フク:「自分が写っていない写真でも、ですか?」

西野さん:「そうです。ですから母親からは怒られました(笑)。当然ですよね。

西野さん:「本格的に写真を勉強しようと思ったのは、それから少し経った高校2年の時。四国のお遍路参りにカメラを持って行ったのがきっかけでした。祖父が絵をやっていた影響もありデッサンの学校に通っていましたが、そこでお遍路さんの話を聞き自分も行くことにしたのです。寝袋とテント、母親から借りたミノルタの一眼レフカメラを持って、八十八ヶ所巡りを歩いたのです。その時初めてカメラを持って歩いたわけですが、この体験が自分にとって非常に刺激的で・・・。それまでは座ってキャンバスに向かいながら作業していたので、変化していく光景をパチパチと歩きながら撮るというのが心地よかったのです。」

フク:「歩いて撮ることに新鮮さを感じたというのは面白いです。それは私が、写真を撮る=歩いて撮ると言っていいほど当たり前のことだと勝手に認識していたからなのですが、絵を描いていた人には新鮮に感じたりするのですね。」

西野さん:「そうですね。当然その時はいい写真を撮るとか風景写真を撮るといった感覚はなく、お遍路参りの中で見た景色や、歩いている自分の足元などを自由に撮っていました。この開放感が新鮮で、写真の勉強をしてみたいと思っていきました。」

フク:「高校卒業後は大阪芸術大学に通われていますが、その頃はどういった作品を撮っていたのでしょう?」

西野さん:「好きな写真家の影響もあって、在学当初はスナップショットばかり撮っていました。天王寺の「青空カラオケ」に通っていましたね。」

フク:「「青空カラオケ」って何ですか?」

西野さん:「今は無くなってしまいましたが、当時天王寺動物園の周りの道路に勝手に建てられたプレハブでできたボロボロの飲み屋があって、昼間から常連のお客さんたちが大音量でカラオケをしていたのです。公道の脇にありますので動物園に行く人たちなどで人の往来は激しいのですが、そんなのお構いなしです。なぜそれがあったのか謎でしたが、そこに通って写真を撮らせてもらっていました。」

フク:「かなりディープな・・・。」

西野さん:「確かにディープな場所ではありました。そこでしばらくスナップショットを撮り続けていましたが、並行してベタ焼き(コンタクトプリント)が面白いなと思うようになってきました。それは大学の授業がきっかけで、校外撮影に行き、そこで撮影した写真のベタ焼きと、その中から選んでプリントした作品を並べるという内容でした。そこでクラスメイトのベタ焼きと作品を見るのですが、人のベタ焼きって本当に面白くて「この写真を撮った後に、これを撮るんだ。」なんて分析しているとその人の行動パターンや好み、人間性が見えてくるんです。そして、そこから選ばれた写真はどういういった取捨選択があって選ばれたのか、というのもダイレクトに伝わってきます。「自分だったらこの写真を選ぶのに、彼は別の写真を選んでいるな。」といった差異、というかズレも面白かったですね。」

フク:「人によっては見られたくないものでもありますよね?」

西野さん:「そうですね。今でも知り合いの作家にベタを見せてくれとお願いしても断られることもありますので、人によっては恥ずかしいものです。しかしあの授業で人のベタ焼きを見せてもらっているうちに、これを使って何か出来ないかな?と思い始めていました。」

~Diorama Mapができるまで~

フク:「ベタ焼きとDiorama Map、これはどのようにつながってくるのでしょう?」

Ns3西野さん:「先ほども少しお話をしたように僕は在学当初スナップ写真ばかりを撮っていまして、普段は学校よりもストリートにいることが多い状態でした。そしてよくデパートの屋上やオフィスビルの非常階段とかを転々としていました。それは外にいる時に1人になれる場所だったからです。撮影の合間にそこでぼんやり現実逃避をしているなんていうことをしょっちゅうやっていました。

西野さん:「大学2年の時、そんな場所から撮った風景のベタ焼きをひとコマひとコマ切って、ポストカードくらいのサイズの紙に貼り合わせて1枚の写真にしてみたことがあったのですが、これがDiorama Mapのスタートでした。その作品を何枚か作って、写真家の土田ヒロミ先生に見ていただいたところ「これをもう少し拡げてみたら。」というアドバイスをいただき、Diorama Mapの1作目「Osaka」を撮るようになったのです。」

フク:「大学2年生の時からということは結構長い取り組みになっていますね。大阪から始まり撮影する対象が海外へ移っていったのはどうしてだったのでしょう?」

西野さん:「「Osaka」が出来るちょっと前くらいから、完成したら日本全国の都市を撮ってみようと思っていました。ですがその作品を見てくださった土田ヒロミ先生が、僕の写真に興味を持った上海に住んでいる人を紹介してくださり、それがきっかけで海外の都市を対象にするようになりました。ですからDiorama Mapにおける土田ヒロミ先生の影響は大きいです。」

フク:「CP+2015で展示をされた作品「Amsterdam」ですが、オリジナルを複写し、オリジナルよりも少し大きい3×2.7メートルのインクジェットプリントにして展示をしていました。西野さんの作品は長辺が2メートルを超える大きいサイズが多いですが、1作品あたりどれくらいの撮影期間と編集期間を経て出来上がるのですか?」

西野さん:「撮影は大体1ヶ月半くらいです。そこから帰国してフィルム現像をし、ベタを撮って貼っていきます。帰国後の制作期間は2〜4ヶ月くらいです。1年に3作品できればいい方だと思っています。はじめはポストカードサイズに10枚ほどのベタを貼ったものから始まりましたが、どんどん規模が広がって今は10000枚以上の写真を貼り合わせるようになっていますね。」

フク:「数を聞くと途方もない作業ですね。ひとつの作品に仕上げていく時の写真の配置などはあらかじめ決めているのですか?」

西野さん:「滞在し撮影をしている時はその都市のイメージを目に焼き付けていきます。ですからはじめから構成を決めるということはしていません。作品の構成を想定しはじめるのは帰国後です。フィルム現像・ベタ焼き・プリントと作業を重ねていくと、ひとつひとつの写真をじっくり見ることになりますが、その中で自分にとって記憶に強く残っている場所や忘れ難い様々なシーンを抽出していきます。そうした写真は作品の中でも大きく扱ったりするようにしています。

西野さん:「画面構成がおおよそイメージできるのは最後にホワイトキャンバスに向かう時です。この時には簡単な下絵を描いて貼っていきます。貼り合わせる写真の選別や、完成をイメージするまでは時間が掛かりますが、貼り合わせる作業は一気にやりますので結構速いペースで進みます。」

フク:「なるほど。貼り合わせる時点では完全に配置は決まっているのですか?」

西野さん:「ほとんど、と言ったほうがいいかもしれません。貼っていくうちに当初のイメージから少し外れることもあります。貼り合わせは自分がその都市に滞在した時間の、最後の追体験を行う作業です。カチッと決めて作るというよりは、追体験を正確にキャンバスに表現することに重点を置いています。」

~スマートグラスは新しい表現ツール~

フク:「CP+2015での展示では、エプソンのスマートグラス「MOVERIO」を掛けると制作風景などが見えるような仕掛けに挑戦されていましたが、実際このような試みは初めてだったのですか?」

Ns5_4西野さん:「初めてです。僕の作品は完成までに様々な工程を踏みますので、どのように作られているのか分かりにくい部分もあります。そこで今回は作品の背景を紹介するような映像を連動させてみました。これまでは主に文字による情報伝達だったのものを、スマートグラスを使って映像で見せることができるのは面白いなと思いました。まだこの道具もこれからどのような使い方をするか模索している段階だと思います。ですが、写真にとどまらずアートの世界でも、例えばスマートグラスを掛けて見ることで、絵や写真がそこで初めて完成するような作品というのが生まれてくるかもしれません。スマートグラスは使い方によっては新しい表現ツールになり得るんじゃないかな?と予感させられました。」

フク:「今後の展開についてお聞かせください。」

西野さん:「2014年にオランダのアムステルダムで行われた「Unseen Photo Fair 」というイベントに参加したのですが、その時に手がけたプロジェクトを今年は東京でも展開したいなと思っています。それと同時に並行して実験的な展示ができればなと思っています。」

フク:「最後に、今後はどのようなところに行きたいと考えてらっしゃいますか?」

西野さん:「キューバに興味があります。アメリカとの国交正常化の問題などがあって、ここ1・2年で大きく国も都市景観も変化するんじゃないかと思っています。また、キューバ周辺の南米の国々も旅をしたいです。現在製作中のアフリカの作品が出来たらすぐに旅立つかもしれません。作品になるのは少し先になりますが楽しみにしていただきたいです。」

いかがだったでしょうか?

それではまた、よろしくお願い致します。

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