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2013年10月31日 | Posted by フク

フォトグラファーズレポート ~北義昭さん~

みなさんこんにちは、フクです。

今月と来月ののフォトグラファーズレポートは、マスターからレポートもありましたが、10月19日(土)に「EPSON NEW PHOTO FORUM in 大阪」と同日程で開催された「【meet UP!】in 大阪」にご登壇頂いた、北義昭さんと木下アツオさんへのインタビューの内容をご紹介させて頂きます。

お二方とも、開催前日の10月18日(金)のリハーサルと設営の合間を縫ってお時間を頂きました。ありがとうございます!!まず今月は北義昭さんです。

~写真との出会い・作家活動~

フク:「北さんは世界中を旅して、作品を発表されています。その活動は日本だけではなく、世界各国のギャラリーで取り扱われている写真家です。そんな北さんに今更聞きにくいのですが、そもそも写真をはじめたきっかけをお聞きしたいと思います。」

Ky1北さん:「僕の場合、もともと写真に興味はありませんでした。中学、高校とクラシック音楽のパーカッションをやっていました。大学も京都芸大や国立音大に入って、将来はオーケストラで演奏するんだと信じ込んでいました。ところが大学の受験に失敗しまして、1浪して再度挑戦したのですがやはり駄目で諦めたのです。そこで専門学校に2年ほど通ってみようかと思いまして、たまたま専門学校を紹介する本を開いてみたら、そこが写真の専門学校を紹介するページだったのです。」

フク:「くじみたいですね(笑)。」

北さん:「偶然ですよね(笑)。でも音楽を辞めた後、何か表現をしたかったんでしょうけど、絵も描けませんので、写真って結構いいんじゃないかな?僕も学校に通えば何とかなるんじゃないか?なんて思いましてね・・・写真ってほら、押せばとりあえずは写るじゃないですか。写んなかったんですけど・・・。(笑)」

フク:「確かにそうですね。」

北さん:「という具合にあまり人にお話できるレベルではないきっかけで写真をはじめました。」

フク:「音楽から完全にシフトチェンジして写真に打ち込んだということですね。」

北さん:「それがそうでもないんですよ。フィルムも入れることのできない状態で入学しまして、とりあえず学校に通うことにしたのですけど、なんか写真を撮るのが嫌で嫌で・・・」

フク:「なんですかそれ(笑)?」

北さん:「カメラを首から下げて町を歩くのが格好悪く感じましてね(笑)。1年生の間は学校こそ行っていましたけど、写真はほとんど撮らずに遊んでいました。それでも1年くらい経った時に、確かフォトジャポンという雑誌でロバート・メイプルソープという写真家の写真を見たのです。本当になんてことない写真で、スキンヘッドの黒人男性が目をつむっているポートレートだったのですが、それに心を動かされました。その写真にはすごく愛が溢れていました。僕が通っていた学校は専門学校でしたので、テクニカルのことは教わりましたけど、美術・芸術ということにはあまり触れていなかったわけです。でもその写真を見た時に写真は心が写ると初めて思って・・・それがきっかけで音楽への未練を断ち切り、まじめに写真をやろうと思ったわけです。」

フク:「はじめて好きになった写真家がメイプルソープだったんですね。」

北さん:「彼の作品には写ってはいけない部分が多く写っていたこともあって、当時まだ日本の書店には置いていませんでした。大阪中の平行輸入をしている本屋さんを探して写真集を入手しました。それまでは写真といえば広告か雑誌の写真しか見たことがなかったけど、そこではじめて写真にアートの世界があるということ知り、自分もアーティストになろう、作品を作ろうと思いました。」

フク:「専門学校の2年生の時にアートの世界を知り、卒業後は作品活動を本格化させたわけですね。」

北さん:「専門学校を卒業してからは、作品づくりをメインにしようと思っていましたので、就職せずにフリーのアシスタントをやりながら作家活動をはじめました。そうはいっても作家活動の方は右も左も分からず、写真を撮ってはまとめる作業でした。仕事の方は広告関係の撮影が多く、気がつくとコマーシャルフォトグラファーとして結局15年ほどやっていました。その後、35歳のタイミングで作家活動に専念することにしました。そこから旅に出るようになったのです。」

フク:「35歳で決意するというのは大変ですよね・・・」

北さん:「作家活動もコマーシャルフォトグラファーもプロの仕事ですから・・・両立させることは、僕にはできなかったんです。どっちも中途半端になってしまったら元も子もないですからね。南米を1年くらい旅し、帰ってきてプリント、それからまた旅...を繰り返していました。結局30代の半分は旅先で過ごしていました。作品は溜め込むだけ(笑)。コンペに出したりもしましたけどあまり結果は出ませんでした・・・。」

フク:「そうしたなか、作品づくりを続けていくモチベーションというのはどこから生まれてきたのですか?」

北さん:「本当にやりたいことでしたから、確かに大変でしたけど苦にはなっていませんでした。それにここまでやってしまったらもう途中で引き返せないですよ(笑)。ただ清里フォトアートミュージアム主催の「ヤング・ポートフォリオ」に作品が収蔵された時は励みになりました。自分のやっていることが認められたことが嬉しかったですし、自分のやっていることに間違いないと確信を持たせてくれました。」

~旅で発見したもの~

フク:「なぜ「旅」だったのでしょう?」

Ky3北さん:「学校では写真のテクニカルな教育、卒業後から30代にかけては広告の仕事をしていたなかで、美術的な経験や教養が全くありませんでした。当然何かを作りたいとは思っていましたけど、ものを作るときの原動力や表現するものが自分の感情しかなかったのです。写真においての表現は、被写体と対峙しどのような距離感を持って接するかが大切だと思います。当時は、自分のことばかりで、被写体の前に立つという意味がわかりませんでした。その頃の写真は自分で見ても心を動かされることはありませんでした。それでは当然人の心を動かすこともできませんよね?そこで一度あらゆるものを見に行こうと思って旅に出たわけです。写真が他のアートと違うところは、その場で被写体と対峙しないと物が作れないというところです。対峙してから考えるという体験型の表現方法で、ベースに必ずドキュメントがある媒体です。僕が旅を選んだのは色々なものを目にして、出会わないと作品は生まれないと直感したからです。」

フク:「どうやって行先を決めたのですか?」

北さん:「何もないです。南米に行こうと決めたら南米を全部片っ端から廻ってくる、アジア横断といったら全部陸路で廻ってくる、それだけです。どこに行きたいという特定の思いはなく、片っ端から行って見てみようと。」

フク:「南米の旅の後はアジアでしたよね?」

北さん:「そうです。今にして思うと南米やアジアというエリアを選んだのは、自分のルーツではないですけど、同じモンゴロイドのいるエリアに若干距離の近さを感じたのですね。だから欧米を選ばなかったのかもしれません。」

フク:「旅の中でどういったものを発見しましたか?」

北さん:「僕の旅はほとんど陸路で移動するものでした。よっぽどの事情がない限り、バスか歩きで国境を渡っての移動です。実際自分の足で国境を渡っていきますと、世界を点と点ではなくてグラデーションで見ることができるようになるんですよね・・・。」

フク:「グラデーション?」

北さん:「日本には国境が陸にないので、ピンと来ないのですが、自分で国境を歩いて越えると色々見えてきます。それはまず、国境って人が作ったものということです。ですからそこを越えたからっていきなり何かが変わることはないんです。同じような風景が国境を越えても続いているし、人間だって同じような人が国境の先にもいるわけです。世界はグラデーションで繋がり徐々に地域性のようなものが出てくるんですね。もちろん戦争などでガラッと変わってしまう世界もあるのですが、そうやって世界を見ると、人間という存在も自然の一部で、その営みも自然の一部ということが身をもって体験することができました。そうなると面白いもので、何が人為的で何が自然なのかが段々分からなくなってきます。人間も自然の一部であって人間が作った物も、ひょっとしたら自然の一部なのかもしれない。所詮僕らは自然にある物からしか物を作ることはできません。現在制作している作品のテーマは【原始の記憶】です。これは旅の中から発見したものです。」

フク:「【原始の記憶】というのはどういったテーマなのでしょう?」

北さん:「世の中のあらゆる物には原始から受け継がれた記憶が残されていると思うのです。それは人間の皮膚であったり、物であったり、風景であったり・・・そうした記憶というのは人間の皮膚や世界の表皮には受け継がれて見ることができると思い、それらを写真で表現することがテーマです。」

Eys

Landscape

▲北さんの作品

~レビューは失敗を重ねてうまくなる~

フク:「現在は海外のギャラリーなどでもその作品は取り扱われていますが、これはどのようにして売り込みに行ったのですか?」

Ky2北さん:「当初はいくつかのギャラリーにも見せに行ったんですけど、なかなか評価されず結果が出ませんでした。1年も2年も掛けて旅をして撮った作品を簡単にあきらめきれなくて。人生賭けて行ってきた訳ですから(笑)。だったら評価される場を探そうと。結果初めに評価してくれたのがたまたま海外のギャラリーでした。写真に限らず美術は様々な見方があります。それは受けてきた美術教育が違えば見方が変わるし、人種が違えば見方も変わってくるでしょう。ですから正解はないのです。有名になるとかではなく、自分が写真作家・アーティストとして生きていける場所を見つけるために色々なところに見せに行きました。」

フク:「それはすごく大変そうです。」

北さん:「英語もろくに喋れませんでしたね・・・でも何とかなるものです。自分の写真の話をしているのでなんとなく伝わります。今回参加させてもらいましたレビューイベント「meet up!」では、人に見せてプレゼンテーションするのが初めてで、どうやって見せたらいいのかを手探りの方が多くいました。僕も初めてレビューに参加した当時は結構失敗しましたけど、その時を思い出すような・・・」

フク:「海外へレビューに行かれた時にどんな失敗をされたんですか?」

北さん:「どのように作品を並べたらいいのか、何枚くらい見せていいのかとか・・・すべてが分かりませんでしたからね。レビューの持ち時間は20分だというのに写真を30枚持っていきまして、見せただけで終わってしまってほとんど話ができなかったいう失敗もありました(笑)。すぐにホテルに戻って編集をしなおしたりしましたね(笑)みんなそうした失敗をするんです。しかし数をこなしていると徐々に時間内にちゃんとプレゼンテーションが出来るようになり、レビュワーとコミュニケーションがとれるようになってきます。日本でもこうした機会は増えてきていますので、何度も続けて参加するいいと思います。」

いかがだったでしょうか?

来月は木下アツオさんのお話を紹介させて頂きますね。

それではまた、宜しくお願い致します。

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