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2013年02月27日 | Posted by フク

フォトグラファーズレポート ~柿島貴志さん~

みなさんこんにちは、フクです。

またまたやって参りました月末。なんだか本当に早いものです。。

さて、今回のフォトグラファーズレポートは、2012年開催のエプソンフォトセミナーでもご登壇頂き、2013年1月に横浜で開催されました写真イベントCP+ではエプサイトギャラリーで展示する写真家山内悠さんとのトークショーに出演いただきました柿島貴志さんです。

柿島さんといえば、我々エプソンのセミナーでは「額装の人」といったイメージが非常に色濃いですが、その人となりや、どうして「額装」といったジャンルに辿り着いたのか、なぜ写真への道に、ギャラリストという分野に進まれたのかなどいろいろとお話を伺うことができました。

今回は、柿島さんが主催されている東京中目黒の写真ギャラリー「POETIC SCAPE」にお邪魔し、ギャラリーと写真作品の販売スペースも見せて頂きながらのレポートとなりました。

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~写真の面白さは植田正治氏から~

フク:「それでは柿島さん、宜しくお願いします。まず始めに、柿島さんの生い立ち的なところを伺ってもいいですか?」

Kt2 柿島さん:「よろしくおねがいします。僕は石川県の七尾市というところの出身です。実は母方はひいひいおじいさんの代から彫刻をやっている家系なんです。
七尾市では少し有名で、市役所の前に立っている銅像なんかも親戚が制作したものがあるんですよ。
僕の2人の叔父もやはりどちらも彫刻家で、一人はヨーロッパを放浪、もう一人はローマのアカデミーに留学し、その叔父と結婚した叔母は陶芸家と・・・いわゆるアート系一家でしたね。」

フク:「小さい頃からアートが身の回りにあふれていた環境だったのですね~」

柿島さん:「ええ。叔父が海外へ行った影響もありますが、家族の間に漠然と「海外には必ず行っておけ」みたいな雰囲気がありましたね。
ただ、大学へ進学する頃は自分がアートをやろうなんてことは全く思っていませんでした。当時興味があったのは歴史学で、大学は東京の学校に進学し、日本史を専攻していました。と言っても、あまり勉強熱心ではなくて、サークルでバンドなんかをやっていました。」

フク:「写真と出会ったのはいつ頃なんでしょう?」

柿島さん:「友達に勧められたか何かで、たまたま東京ステーションギャラリーで植田正治氏の写真を見たのがきっかけです。
それまでもラフォーレの広告などで写真がカッコいいとは感じていましたが、その展覧会で「写真をやってみたいな」って初めて思ったんです。
何が面白かったといいますと、僕のそれまでの写真に対するイメージは、広告やドキュメンタリーや報道といったものしかなかったんですが、演出の入った、いわゆる植田調の写真作品を見て、「あ、写真でこういうことをやってもいいんだ」って気付かされました。正直おしゃれだなーと思ったんです。(笑)」

柿島さん:「それからすぐに、楽器を買おうと思って貯めていたお金でニコンのカメラを買い、写真研究会というサークルにも入りました。
フィルムの現像やプリントといった基礎的なところを一通り覚えていくうちに、写真家になりたい、しかも商業カメラマンではなくアーティストとして作品を作って販売したいとという思いを持ち始めていきましたね。」

フク:「そこから写真家としてスタートを?」

柿島さん:「写真に興味を持ち始めたのが大学生活の後半だったこともあり、アートに目覚めてすぐに卒業になりました。
写真の道を進むにあたり、もう少し勉強が必要だろう思い、大学を卒業した1995年に渡英し、語学学校などを経てイギリス南部の美術大学に留学しました。
ロンドンから少し離れた、あまり日本人留学生が来ていない学校です。」

柿島さん:「この頃は写真の世界にデジタル写真やレタッチ、そしてコンセプトが入って来た時期で、それまでの伝統的な定義が大きく変動していく時期でした。僕が入った学科の名称も入学当時は「Photography」でしたが、卒業の頃には「PhotoMedia」へ変わり、教授も入れ替わりが多かったと思います。
ですから2つ年上の先輩たちはストレートフォトの作品が主流でしたが、僕らが卒業する頃にはストレートフォトからコンセプチュアルな作品に主流が変わりつつ、作品傾向も激変した時代です。」

フク:「その学校を出て写真家として活動を?」

柿島さん:「いえ、卒業後アーティストとして活動していくことを考えた場合、当時のイギリスでは学士号だけでは十分ではないと思われていました。
卒業していきなり大学院に行く手もありましたが、卒業してから何年か社会に出て、そこから大学院に戻るという人も多くいたので、僕も一度、就職活動をし、ニューヨークのIT系コンサルティング会社の日本支社へ勤めました。」

フク:「写真やアートとはかなり距離のありそうな分野ですね。」

柿島さん:「そうですね。僕が就職をしたのは2000年でしたが、日本ではネットバブルの真っ最中ということもあって、会社の周りだけ景気が良かった頃でした。しかしITの仕事が激務で体調を崩し退社。しばらく休養した後、「やはり写真だな」と思いフォトライブラリーに何年か勤めました。
それと同時に、アートとしての写真がもっと身近になる方法はないものかとぼんやり考えていました。
そんな時に、版画作品を売る会社から声をかけられたんです。
その会社は親会社がフレームを扱う企業で、自社のフレームに版画というコンテンツを入れて百貨店などで販売していました。いわゆるインテリアアートです。僕は店舗勤務など色々な部署を経験した後、商品企画部に入り、写真を額装した商品を打ち出しました。」

~額装は口コミだった~

フク:「柿島さんの額装の起源はこの時の仕事だったわけですね。」

Kt3 柿島さん:「当時、僕はフレームや額装の方には、ほとんどタッチしていません。でもエプソンのインクジェットプリントに出会ったのは、この頃です。
商品を写真とした時に、それまでの銀塩プリントですとどうしても採算が合わなくて、商品化するのが難しかったのですが、この問題を解消してくれたのがエプソンの顔料プリンターPX-5500でした。黒の締まりやグラデーションの美しさは衝撃でした。」

フク:「その時からエプソンを使っていただいたのですね~、ありがとございます。」

柿島さん:「ですので、インテリアアートの会社にいた時の経験は、額装の起源というより写真作品の販売、つまりPOETIC SCAPEの起源ということになると思います。
というのも、僕の額装の仕事は本来仕事として始めた訳でも何でもなく、すべて口コミで広がったものなのです。
もともとは、一般の人に写真作品を売るには額装込のほうが良いと思って、元勤務先の親会社から額を仕入れ、作品と共に売っていたのですが、2008年くらいから、友達に「ちょっと部屋に飾りたい写真があるから額装してよ」と頼まれたことがきっかけです。
やっていくうちに「僕もお願い」とか、「今度展覧会があるから是非やってよ」というかたちで少しずつ額装の依頼が増えていったんです。」

柿島さん:「そのうち渋谷のギャラリーに声をかけてもらい、額装のワークショップを行うことになりました。
写真の額装という角度で行うワークショップって僕がやり始めた当時、周りでやっている人が少なかったんでしょう。
珍しいということもあって、これがまた口コミで広がって、PhatPhotoさんやエプソンさんにも声をかけてもらい、現在のようになっています。
ですから現在に至るまで、実は正式には「額装やります」という看板を掲げたことが無いのです。
別に秘密にしている訳でなく、そろそろ看板を出したいのですが、、時間が無いだけです。(笑)」

フク:「なるほど。私は柿島さんというと、どうしても額装の方を先に思い浮かべてしまうのですが、本来はアート作品を販売する活動がメインで、額装はどちらかというとサブ的位置だったんですね。」

柿島さん:「そうです。インテリアアートの会社を2007年にやめて、フォッタロットというレーベルを立ち上げて、その後、POETIC SCAPEのオープンというのが本筋。その傍らで額装をやっていたというのが正確です。」

フク:「今、話にあがりましたフォッタロットとはどういったものなんでしょうか?」

柿島さん:「アート写真作品専門の販売レーベルです。当時はギャラリーのような場所を持っていなかったこともあって、レーベルと名乗ることにしました。
基本的な業務はギャラリーと一緒で、作家のサインとエディションが入ったオリジナルプリントにコーディネートした額をあつらえて販売する業務です。
最初の活動は2007年11月に吉祥寺の家具屋さんで、写真と家具をコーディネートして販売するということからはじめました。普段ギャラリーに行かない人、インテリアに関心を持っている人にアプローチしたわけです。
その後も立て続けにカフェギャラリーや、ギャラリーを併設しているカフェ、そしてギャラリーと箱を変えて展示をし、2008年以降はWebサイト上からも買えるようにしました。」

フク:「かなりカジュアルに、インテリアの一部としてアート作品を取り扱うという試みですね。」

柿島さん:「そうですね。この活動は半分実験の要素もあって、アートを買ってもらうにはどのような形態がいいのだろう?というのをリサーチしようという目的もありました。そしてこうした活動の中で見えたのが、やはり作家性の強いアート写真を販売するにはギャラリーなんだということでした。その結果を受けて生まれたのがPOETIC SCAPEです。」

~POETIC SCAPEはアート写真の魅力を丁寧に伝え、作家活動をより発展させる活動~

フク:「POETIC SCAPEがオープンしてちょうど1年くらいですが、様々な場所で試行錯誤されながら現在の形になっているんですね。写真のギャラリーといえば、新宿が多いと思いますが、なぜ中目黒だったのでしょう?」

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柿島さん:「確かに新宿周辺に、レベルの高いギャラリーがたくさんあります。しかし新宿はどちらかというと写真を知っている人、玄人が写真を見る場所というイメージがあります。
僕がやりたいのは、一般の人にアートとしての写真を販売し、マーケットを拡大するということです。一般の人というのはアートが好きで興味があるけどもギャラリーに行ったことのない人や、自分では写真を撮らないけど写真を観るのが好きな人という意味です。」

柿島さん:「そしてこだわりたいのは販売です。自分もかつて写真作家志望だったので、なによりも作品が売れるという重要性を身にしみて感じています。そこでギャラリーの場所を代官山とか西麻布といった感度の高いアンテナを持った人が集まりそうな地域で探し、最終的に中目黒に落ち着きました。」

フク:「日本では写真作品はなかなか売れないと言われていますが、実際ギャラリーを運営してみてその辺はどうでしょうか?」

柿島さん:「確かに日本には写真を売買するマーケットは殆ど存在しないと言われていますが、実際はそうした市場を少しでも今より広げることが出来ると思っています。オープンしてまだ日も浅いですが、それでも少しずつコレクターの方は来てくださったり、2枚目3枚目の作品を買ってくださるお客様がいて、アート写真を身近に置く楽しみが広がっていっている実感があります。」

フク:「アート作品を売る立場から見て写真作品は、どのような魅力があるでしょう?」

柿島さん:「作家が何を考えてこれを撮ったのか?こんなことを主題にしたのか?といった気付きや発見を提供してくれるのがアートの基本だと思います。
アート写真はそうした気付きや発見をプリント上で表現してくれるところが面白いですね。
しかも、例えばピカソのゲルニカをコピーしてもそれは複製ですが、写真は何枚かプリントしてもそれがすべて本物です。
僕はこれを複数芸術と呼んでいますが、本物のアート作品を比較的手頃な価格で手に入れることができるのが写真作品の本当にすごいところなのではないでしょうか。」

フク:「最後に、柿島さんはギャラリーでアート作品を販売することで、どのような将来を想像されてますか?」

柿島さん:「日本における作家活動って、現在ほとんど成立しないといってもいい状況ですよね?僕は現状を少しでも変えること...それは作品が売れて作家にお金が入り、それをもとに更なる制作活動ができる環境を作っていければいいと思っています。
まずはアートを身近に感じて楽しむこと、そしてオリジナル作品をインテリアの中に飾ることで心と生活が豊かになるという点を広めていければと思います。」

いかがでしたでしょうか?

ご興味のある方は是非柿島さんのギャラリーへも足を運んでみてください!

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※POETIC SPACEの詳細はコチラをご確認下さい。

それではまた、宜しくお願い致します。

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