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2018年12月20日 | Posted by ギャラリーチーム

エプサイト 安藤久美子写真展 「木魂」

んにちは すっかり冬らしく、毎日寒いですね。冬至も近くいよいよ1年で最も太陽の出る時間が短くなりますが、エプサイトではまさにこの時期らしい展覧会を開催中です。12月14日より開催中の安藤久美子さんの写真展「木魂」を今日はご紹介します。

Dsc_6614▲安藤久美子さんの「木魂」より。闇の中にさざめき合う竹の様子がかなり抑えられた光で表現されています。

今回の安藤さんの作品の被写体は竹と椿です。竹と椿は私たち日本人にとって古くから馴染みのある植物。どちらも魂が宿る木として日本の文化と深く結びつく植物です。

安藤さん:竹などの植物に関して以前から興味がありました。京都が好きで以前からよく出かけていたのですが、夜の闇の中で見る自然の景色が好きでした。

安藤さんが写真を本格的に始めたのは5年前とのこと。コンパクトデジタルカメラで何気なく撮った竹の写真が日本最大の審査制写真投稿サイト・東京カメラ部の「今日の1枚」に紹介され、知らない人からたくさんの反響いただいたとのことです。

安藤さん:海外の方からも「ワンダフル」とか、、、思いがけずたくさんの方にコメントをいただけたのがとても嬉しかったです。それで写真をもっと本格的にやってみようかと。すぐに1眼レフカメラを買い、次の月には「PHaT PHOTO写真教室」で受講をはじめました。

素晴らしい行動力で、それからは一気に生活の軸が写真中心になったという安藤さん。レギュラーのコースを終えた後は、さらに「展示」を目指し集中的に学ぶコースを受講されたとのこと。

安藤さん:このクラスは「展覧会を開催する」ということをゴールとする、まさに展示に特化したコースなんです。発表の仕方、ステートメントの言葉の選び方、展示の配置など、展示に関するさまざまな事を学んでいきました。それまでのワイワイ楽しくやる感じはなく、急にストイックに突き詰めていった感じです。

写真の発表の在り方も多様化している今、もともと写真をはじめたきっかけがインターネットの世界だった安藤さんが、「展覧会」というスタイルにこだわったきっかけは何だったのでしょう。

安藤さん:今の私の作品はモノクロで、かなりアンダーのトーンなのですが、実は最初に東京カメラ部に投稿した竹の写真はカラーでもっと普通の写真だったんです。写真を始めて2年目ぐらいから、自分でしか作れない世界を模索して、たどり着いたのが、今回の作品のような表現です。そうなるとモニターでは全然伝わらない。紙で表現するトーンがベストなのです。しかも自分で撮っている作品の世界はサイズが小さいと伝わりにくい、大きく見せるには展示という手法がベスト、生のプリントで見ていただくのが究極という結論に達しました。

安藤さんの作品の特徴は、非常に抑えられた光の表現、かなりアンダーなモノクロの世界なのですが、このように作品を仕立てた意図をお聞きしました。

安藤さん:よく「夜に撮っているのですか?」という質問をいただきますが、撮影しているのはたいてい日中です。背景が崖になっているところなど薄暗いところで撮っています。最初はカラーで撮っていたのですが、いらないものをどんどんそぎ落としてシンプルにしていく過程でこうなりました。
色や光をそぎ落とし、重要なもの、自分が一番美しいと思っているもの、そこに魂の気配を感じるものだけは見えているように、と意識して仕上げています。
でも背景は真っ暗ではないのです。奥に隠れているものの美しさもうっすら残すように、しばらく見るとじんわり見えてくるように、そこをぎりぎり保つようにしています。目に見える美しさは普通の露出で写せば写りますが、奥深い美しさを表現するために色や光をそぎ落としていった。一輪のお花を床の間に活けるといったこともそうですが、日本の美意識はマイナスの美学ですよね。また陰影の中に美を見出すのも私たち日本人特有の感性です。

Pc150707▲ギャラリー内の様子。最初は真っ暗でよく見えなかったものがそのうちにじんわりと見えてくるような感覚です。ライティングもじんわり光がにじむようなイメージで調整しています。

プリントの用紙はエプソンのVelvet FineArt Paperと、大判作品はPXMCプレミアムマット紙ロール。しっとりとした闇が表現されています。

安藤さん:これだけ黒が多い作品なので大変でしたけど、今回の展示の準備を通じて大判のプリントの取り扱いを学びました。黒のトーンは調整中もモニターではずっと見ているのですが、プリントしてインクが落ち着いた頃に判断をしていました。プリントが最終の成果物なので、最後は紙にプリントされたものを自分の目でみないと判断がつかないということもあらためて強く思いました。

Pc140688▲初日の12月15日夜に開催されたギャラリートークの様子。トークのゲストは安藤さんの師匠である写真家の神島美明さん。神島先生からも「ここまで作品をシンプルにするには勇気がいる。このシンプルという日本人の美意識は見る者に対して入り込む余地を持たせている」とのコメントが。話は多岐に渡り、トークは大いに盛り上がりました!

暗闇の中で五感が冴えていくような感覚。日本人が元々持っている美意識を竹と椿を通じて表現した安藤さんの作品世界。ぜひギャラリーに佇んでご覧いただければと思います。

安藤久美子さんの展覧会「木魂」は12月27日14:00まで。エプサイトは日曜は休館ですが祝日は開館していますので、ぜひ足をお運びください。皆様のご来場を心よりお待ちしております。

エプサイト
安藤久美子写真展「木魂」



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2018年12月06日 | Posted by ギャラリーチーム

エプサイト・稲垣英孝写真展「RESURRECTION SPELL」

こんにちは 先週11月30日よりエプサイトでは稲垣英孝さんの写真展「RESURRECTION SPELL」を開催しています。今日はその様子をご紹介しますね。

1_▲稲垣さんの写真展DM。カメラを持って岩山を登る人の後ろ姿、テトラポットの並ぶ海岸線、作業着を着てカメラに眼差しを向ける人、etc...  一見何のつながりも持たない写真が隣り合う稲垣さんの作品。不思議な雰囲気です。

まず最初に稲垣英孝さんのご紹介を少々。高校時代に写真部に入部、大阪芸術大学で写真を専攻し在学中に学長賞を受賞、現在は東京に拠点を移し、業界紙の記者として仕事をしながら、作品の制作を続けています。写真をずっと撮り続けてはいたけど、「発表する」ということからは少し遠ざかっていたという稲垣さん。実は今回、初個展となるそうです。
スナップショットが不思議な組み合わせで並んでいる稲垣さんの作品ですが、まずは作品のコンセプトについてお聞きしました。

稲垣さん:ここ数年は特定の地域や特別なものを写さない、というコンセプトで写真を撮っています。写真は現実に存在するものを写すものですが、同じ写真でも、見る人によって全く解釈が違ったり、並べ方で意味合いが変わったりします。今回の作品は見てくれた人に解釈を委ねる、という事がテーマの一つになっています。

「RESURRECTION SPELL」というタイトルは直訳すると「復活の呪文」という意味。実はこの作品のタイトルは、あるゲームから着想を得たのだそう。

稲垣さん:ある昔のゲームに「復活の呪文」というものあります。これは中断したゲームを再開するときにを入れるパスワードなのですが、単なる文字の羅列で出来ています。一見意味を成さない文字の羅列に暗号のようなものが組み込まれていて、それが再スタートの鍵になるのです。写真にもそういった暗号的な要素があるんじゃないかと思っています。

不規則なものを組み合わせ並べた時に、何かが始まって様々な思いを想起させる、こうした稲垣さんの試みは写真展の中にどう落とし込まれていったのでしょう。

稲垣さん:写真は記号として並んでいるけど、見る人それぞれの解釈が入る。今回、写真の並べ方は最後の最後まで悩みました。それでようやくたどり着いたのが「音楽」というキーワード。自分の写真は音楽の楽譜のようなもので、見る人がそれを解釈して演奏する。「音楽」というキーワードを手掛かりに構成を考えることで、腑に落ちました。

Pc040659▲ギャラリー内の様子。確かに五線譜に音符が並んでいるかのようにも感じます。実はこの並べ方は、稲垣さんの記憶の中にある一番古い楽曲の音の並びを意識されている、とのことです。

さて、稲垣さんの作品のもう一つの見どころは1枚1枚のプリント。ハッセルブラッド500CMにデジタルバックという装備で撮影された作品は、中判ならではの被写界深度と画質で、優しいけど芯がある、何とも言えず美しい描写です。

稲垣さん:フィルムの頃からカメラは中判を使っていたのでデジタルでも自然とこの装備になりました。作品は全てRAWで撮影しています。自分のプリントはシャドーを起点にしていて、影は起こしてつぶれないようにするのが基本です。ハイライトが飛びすぎた時はそこだけ抑えます。色は派手にしないように心がけています。 

画面でお伝えできないのが残念ですが、フィルムとは似ているけど違う、デジタルとも違う、「第3のトーン」という言葉が似合うようなプリントです。

Img_7180▲ギャラリー内の一部。ちなみにこの辺りは稲垣さんが好きなゴッホの作品にかけた並び方になっているとのこと。みなさんお分かりになるでしょうか。。。「解釈は見る人に委ねる」と稲垣さんはおっしゃいますが、作家に意図を直接聞いてみるのも、もちろんオッケーです。稲垣さんも快く解説してくださいます。

最後に稲垣さんに写真展をやってみての感想と今後の展望を伺いました。

稲垣さん:今回初めての展示ですが、空間を使って作品を見せるというのはとても面白いですね。ブックはブックで面白いですけど、写真は展示で見せる価値があるということが良く分かりました。他の展覧会をまわっても、自分が学生だった頃より、今のほうが凝った展示が多いですよね。見る側に刺激を与える展示とは何だろうと悩んだことも今後の糧になるかと思います。
次は特定の場所に絞った作品を作ってみたいです。短い時間で作ってみたいこともあり、次作のヒントをこの個展で何か得られれば、とも思っています。

稲垣さんの展覧会は今月13日の14:00まで。ぜひギャラリーで、稲垣さんの作品世界を味わってください。皆様のご来場を心よりお待ちしております。

エプサイト 稲垣英孝写真展 「RESURRECTION SPELL」 


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2018年11月22日 | Posted by ギャラリーチーム

エプサイト・嶋田聡史写真展「気鋭の排他」

こんにちは 朝晩冷え込むようになりましたね。芸術の秋が深まっていきますね。
さて、エプサイトでは11月15日(金)より、嶋田聡史さんの写真展「気鋭の排他」を開催しております。2018年度下期公募展・第2弾の展覧会となります。

嶋田さんの今回の作品は、ビルが主役です。東京都内には意匠を凝らした新旧数多くのビルが存在しますが、その表情豊かなテクスチャーを端正なモノクロ作品で表しています。

20181116__3▲展覧会のメインビジュアルとなったこの作品は、東京・お台場にあるフジテレビの本社ビルとのこと。言われてみれば、、、あの丸いところでしょうか。。。

嶋田さんは写真を独学で始められて3年、美容師としての仕事と並行して写真作品を制作しています。エプサイトも公募展が始まって10年が経ちますが、美容師を職業とする作家さんをお迎えするのは初めてではないでしょうか。嶋田さんに写真を始められたきっかけをお聞きしました。

嶋田さん:ずっと美容師として仕事をしていますが、この仕事は何よりもお客様の要望に応えることが第一です。もちろん自分の提案やセンスを入れることもありますが、完全に入れることは出来ません。自分の感性やセンスを存分に表現できるものを探していて、始めたのが写真です。
元々ファッションが好きなので、仕事とリンクするような形で普段はファッションフォトを多く撮っています。モデルのヘアセットやメイクはもちろん自分で仕上げ、衣装はスタイリストの友人を交える場合と、自分で全て手掛ける場合と様々です。

モデルを使ったファッションフォトの撮影が多い嶋田さんですが、ビルの作品はどういうきっかけから生まれたのでしょう。

嶋田さん:モデル撮影の合間に撮影場所周辺の風景も入れて作品を作っていました。それをある人に見せたら「ビルの写真も面白いね」と言ってもらって、それでビルだけを撮ってみようと始めました。

モデルに向き合う時と一緒で、ひとつひとつのビルについて歴史や背景をじっくり調べてから撮影を行うという嶋田さん。作品に登場するビルは新旧さまざまですが、古きも新しきも等しく、造形の美しさがシンプルに際立つように写されています。
ところで、「気鋭の排他」というタイトル、気になりますよね。タイトルに込めた意味をお聞きしました。

嶋田さん:ビルにはその時代の最先端の意匠が凝らされています。建てられた当初はまさに「気鋭」の存在です。それが時代を経て老朽化すると「排他」されていきます。日本はビルのスクラップ&ビルドを繰り返して成長を続けてきました。でもその繰り返しこそが日本の成長を支えているってことを考えながら撮っていました。

以下、嶋田さんのステートメントから、一部抜粋します。

建造物の建て替えの周期は欧米が約100年、イギリスでは140年。その中で歴史と伝統を重んじる「はず」の日本は30年といわれている。
地震があり、国土に限りがある日本はスクラップ&ビルドを繰り返し、社会を様変わりさせ「麗しき国、日本」を築き上げてきた、といっても大きく外れてはいないはずだ。
現在、コンバージョンやリノベーションといった既存の建築物に付加価値を付け、用途を変えて新しく蘇らせる建築の在り方も注目を集めている。それでも建造物は今後も建てられていくであろう。

ビルの表層から都市の新陳代謝を考える。嶋田さん独自の視点が、作品に奥行を与えている気がします。さて、嶋田さんに今回の展覧会でこだわった点についてお聞きしました。

嶋田さん:一つ一つのプリントを見せることだけではなく、空間全体を含めて「作品」となるように意識しました。個展というと一人で全部作るイメージがありますが、今回は自分の周りにいる仲間にも協力してもらいました。普段自分を支えてくれている人たちと一緒にこの空間を作った、という感じです。

Img_7169▲今回の展覧会を作り上げた4名の方のプロフィールも掲示しております。作品に沿えるテキストはスポーツライターの山口勉さん、作品とコラボレーションするようにギャラリー内に流れる音楽はスタイリストの上野恒太さん、DMをはじめ今回の写真展全般に関わるグラフィックはデザイナーの栗山紗季さん。みなさんカッコいい。『「気鋭の排他」プロジェクト』と勝手に名付けさせていただきます!! 

Img_7165▲ギャラリー内の様子。カッターライトを使用して、作品が立体的に浮き立って見えるような演出に。建物の造形美がシンプルに際立つ印象です。嶋田さん、そして『「気鋭の排他」プロジェクト』の皆様のお人柄と相応し、ギャラリー内はいつになくクールでオシャレな雰囲気です。

Img_7168_1▲今回の展覧会に合わせ作成された「ZINE」。何とカッコいいのでしょう。。。しかも手製本とのこと! 手に取らずにはいられません!! こちらのブックデザイン&制作も、グラフィックご担当の栗山さんが手がけられたとのこと。数量限定販売です!

最後に今後の展望について、嶋田さんにお聞きしました。

嶋田さん:今美容師と写真がいい感じで両立できている感覚があります。たとえば写真をやることによってファインダーの四隅を見るクセがついたのですが、ヘアスタイルも同じで、引いた時にラインがしっかり出ているか、細部までしっかり切れているかを今まで以上に意識して見るようになりました。相乗効果ですね。写真をやってよかったと思っています。こうして個展を開いて在廊すると色々な世代の方がギャラリーに来ます。お話させてもらうと、思いがけない視点でのアドバイスをいただけたりと、とても勉強になります。今回いただいたアドバイスを吸収して、これからも美容師と写真家と二刀流で、自分のスタイルでやっていきたいと思っています。

嶋田さんの個展「気鋭の排他」は29日(木)の14:00まで。日曜は休館ですが、23日の祝日は元気に営業しております。嶋田さんと仲間の皆さんが紡いだ作品世界をぜひギャラリーでご堪能ください。皆様のご来場を心よりお待ちしております。

 エプサイトギャラリー
 嶋田聡史写真展 「気鋭の排他」

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