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2014年05月31日 | Posted by フク

フォトグラファーズレポート ~saorinさん~

みなさんこんにちは、フクです。

今月は少々暑すぎる日もありましたが、外を歩いていても、暑すぎず、肌寒すぎず、気持ちのいい陽気が多かったように思います。カメラを持ってちょっとお出かけ、梅雨入りまではそんな休日もいい季節です。

そんな中、撮影、作品創り、プリントまでは行なっても、その後・・・どう飾ろうか、、っというところで手がとまってしまう事もあるかもしれません。

以前ご紹介した、ギャラリスト「額装の人」こと柿島貴志さんのように作品一つ一つにあった額装を行う方法もあれば、根本タケシさんの写真展で教わった木枠とマジックテープを使った写真を取り換え可能な額など、手法も様々ですが、今回は写真作品をお洒落な雑貨に変身させる写真雑貨作家/フォトグラファーのsaorinさんにお話を伺って参りました。2012年のCP+でエプソンブースでミニセミナーも実施頂きましたが、これまたこれまでのフォトグラファーズレポートとは毛色の違ったお話を伺うことができましたよ。

~フィルムカメラで撮った世界は魔法がかかったように魅力的に見えた~

フク:「経歴を拝見させていただきましたが、写真と出会ったきっかけは何だったのでしょう?」

S1saorinさん:「私が写真に出会ったのは社会人になってからです。そもそも私は写真の勉強をしたこともなく、大学は英米文を専攻し、勤め先も金融関係の会社でした。もともと写真は「写ルンです」の時代からちょこちょこ撮っていました。大学の頃にデジタルカメラが登場しまして、フィルムがデジタルになったことは画期的で、何枚でも撮れることが魅力的だなと思っていました。」

フク:「そこから写真を撮るようになったのですか?」

saorinさん:「いえ。魅力的でしたが、それがきっかけで写真を本格的に撮るようになったわけではありません。デジタルカメラで撮る写真は記録用という位置づけでした。写真を撮る趣味は、まだ当時はありませんでしたね。その頃はインターネットがブームになってきた時代で、個人のホームページを作ることが一部で流行っていまして、私はそちらの方に興味がありました。元々絵を描くのが好きだったのですが、ホームページはその延長線上で、新しい表現方法の一つという感じでした。内容は日記などで、現在のブログに近いようなものです。ホームページを持つと、同じようなものを作って公開している人のページも当然見に行くようになりまして、写真をメインにしたサイトを運営している方が結構いることに気がつきました。なかにはフィルムで撮った写真を作品として公開している方もいまして、すごく素敵な作品がいくつもありました。当然みんなアマチュアの方が撮った写真でした。」

フク:「顔の見えない人どうしのコミュニケーションから少しずつ写真への興味が湧いてきた・・・これは珍しいきっかけですね。」

saorinさん:「確かにそうかもしれません。ただ、実際に写真を撮りはじめたのはネット上で見た写真に影響されたからなんですが、もう少しさかのぼると、写真家の蜷川実花さんもきっかけの一つです。高校生の頃に買った小説の装丁に彼女の作品が使われていて、あのボワっとした極彩色の世界観にすごく衝撃を受けました。写真作品というとやっぱりネイチャーというイメージだったので、こういう写真もあるんだって、自分の中の写真の概念が崩された気がしました。影響を受けた写真サイトを運営している人たちが使っているカメラはコンタックスAriaが多く、それで私も真似して同じカメラを買ったのですが、後から蜷川さんもAriaを使っていると知りました。おもしろい偶然でしたね。」

フク:「思い立っていきなりマニュアルのフィルムカメラですか。」

saorinさん:「当然使い方も分からなかったので、ちょっとした写真教室に通いましたね。絞り、シャッタースピードなどの基本的な知識はそこで大体覚えましたが、まだその頃はカメラを使いこなせていませんでした。」

フク:「それまでは写真は撮っていましたけど、それで作品を撮ろうと考えてはいらっしゃらなかったわけですね?」

saorinさん:「そうです。それまでは写真というのは記録だと思っていましたし、ただ面白くて撮りはじめただけなので、自分が作品をつくるという概念は全くなくて・・・。」

フク:「フィルムの一眼レフカメラを使ってみて、「これだ!」って思ったりしましたか?」

saorinさん:「初めて撮ったフィルム写真を見て、「これ、本当に自分が撮ったの?」って驚きましたね。デジタルカメラで撮っていた写真は記録のための映像にしか見えなかったんですが、フィルムですと独特の質感と雰囲気が表現されて、まるで魔法がかかったような錯覚を覚えました。その時初めて、写真がただの記録ではなく、その時何かを写したかった自分を表現する手段になりうるんだ、ということに気付いたのだと思います。」

フク:「その当時はどういったものを撮っていたのでしょう?」

saorinさん:「家の中の雑貨だったり、ペットの犬だったり、散歩の道すがらの風景だったり・・・。何か特別なものを撮っていたわけではないのですが、身の周りのちょっとした何気ない物が、カメラを持つことですごく素敵に見えたのが新鮮でした。レンズを通すと、目に映る世界が少し変わるというか・・・」

フク:「それ、何となくわかります。確かにカメラを持つと、撮る方も撮影モードになりますよね。それで普段は見えていない、もしくは目に入っていても特別意識もしない些細なものまで急に目がいくようになるみたいな・・・。そこから現状のsaorinさんのスタイルとでもいいますか、日々使用する雑貨やインテリアの中に写真を組み込んでいくようになるには、どのようないきさつがあったのでしょう?」

saorinさん:「写真をはじめたのは10年以上前ですが、最初は当然このようなものを作ろうなんて思いもしませんでした。せいぜいポストカード程度で・・・写真はあくまでも写真でしかないと思っていたわけです。でもある時、愛犬が縁で知り合った方が製本をやっていらして、愛犬の写真を使って蛇腹状の豆本を作ってくれたのです。今でこそ作り方も分かりますけど、当時はこういうものを作る人は多くなかったので、出来上がりを貰った時は本当に感激しました。写真がいわゆる紙の写真ではなく、かわいい雑貨に変身するなんて!!と(笑)。それがきっかけで自分も写真を使ったそういう類のものを作ってみたいと思いまして、製本の教室に行くようになりました。」

フク:「写真教室、製本教室とお仕事の合間を見計らって積極的に勉強されてきたのですね。」

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saorinさん:「記録の写真から作品としての面白さを知り、プリントだけではなく本や雑貨づくりを体験しながら今の状態になったという感じです。この豆本づくりは自宅で教室を開いたり、ホームページなどで紹介したりしているうちに、ある企業からフォトイメージングエキスポ(※1でワークショップをやってみないかと声をかけていただき、2008年、実際に出演を果たしました。この時にたまたま、出版社の雷鳥社とつながりのある方がワークショップを見てくださり、それがきっかけで私の著書「写真でつくる雑貨」が出版されました。当時はちょうど女性向けのカメラ誌なども次々と創刊された時期で、最初の著書をきっかけに、そうした媒体からも掲載依頼をいただくようになりました。」

フク:「フォトイメージングエキスポのsaorinさんが出演されたブースは、私も少しお邪魔した記憶がありますが、住空間に近いつくりで当時としては珍しいなと思っていました。これがきっかけでsaorinワールドが全国的に展開するようになったわけですか?」

saorinさん:「そうですね。普通の生活空間に写真を飾ったら、と考えながら作品を展示した気がします。」

~「写真企画室ホトリ」の立ち上げ~

フク:「現在、浅草橋の「写真企画室ホトリ」を主宰されていますが、これはいつ頃から続いているのでしょう?」

saorinさん:「立ち上げは2012年7月でしたので、もうすぐ2年になります。」

フク:「2012年というとCP+のエプソンブースにも登場してくださった年ですね。」

saorinさん:「そうです。CP+に出させていただいた時には、まだ現在の物件も決まっておらず、残念ながら告知することもできませんでした(笑)。」

フク:「何故、浅草橋という場所を選んだのでしょうか?」

saorinさん:「はじめは家から比較的近く、すてきなお店が増えてきている馬喰町あたりを考えていたのですがなかなかご縁もなく、ちょうどいい物件は見つかりませんでした。そこで少し範囲を広げて浅草橋や蔵前あたりも探してみたところ、ここを発見したという流れです。」

Fotori_front_tateフク:「だいぶ改装されていますが、建物自体は年代物ですよね?」

saorinさん:「築50年くらいと聞いています。私が借りるまでの20年間は空き家になっていたらしく、ほとんど廃墟と言ってもいい状態でした。」

フク:「そうだったのですか?とてもそうは思えません。」

saorinさん:「もともとインテリア雑誌を見たり、ホームセンターに行ったりするのも好きだったので、改装工事は友人や家族に手伝ってもらいつつ、ほとんどセルフでやりました。天井を塗るときは「ほっかむり」を被ってどろどろの作業着姿でやっていましたので、周りからは工事現場の人にしか思われていなかったと思います(笑)。」

フク:「この建物は3階までありますもんね。ペンキ塗りだけでも気が遠くなりそうです・・・。しかし、ギャラリースペースは非常にセンスのよい空間で、とても個人でやったとは思えません。ところで、そもそも何故こうした場所を作ろうと思われたのでしょう?」

saorinさん:「ありがとうございます。先ほども少し話に出ましたが、はじめは自宅で豆本教室を開いたり、作品を作ったり、撮影を行ったりしていましたが、やはり住居と教室が同じスペースというのは限界がありますし、続けるうちに体力的にも精神的にも厳しい部分が出てきまして・・・。」

Saorin2012_2
フク:「それはそうですよね。プライベートな空間とパブリックスペースが一緒というのは、教室の定期開催などをしていたら難しい面も出てきそうですね。」

saorinさん:「ええ。それに、自分が好きに使える自由なアトリエ空間、自宅ではできないギャラリースペースがほしいなと思っていた時期でしたので、思い切って作ってしまおうと決意しました。「写真企画室」という名称にしているのはスタジオのような撮影スペースも、ギャラリーも、教室をやるスペースも兼ねている総合的な場所という意味からです。また「ホトリ」は「Photo」と「鳥」をもじって「畔(ほとり)」という言葉に重ねてつけています。写真で積極的に作品づくりをしている人だけではなく、写真を撮ることや見ることへ興味を持っている人が気軽に立ち寄れたり、写真を見せあったりする場所になればいいなと思い、この場所を作りました。」

~写真を楽しみたい人はホトリに集まろう~

フク:「先ほどからお話を伺っていますと、カメラや製本に興味を持ったら教室に通われたり、必要と思ったら写真企画室を立ち上げたりと、その行動力に感心させられます。saorinさんの活動とホトリについて伺います。普段saorinさんはホトリに常駐されているのですか?」

saorinさん:「撮影や打ち合わせなどで出かける時以外は、平日は基本常駐しています。ただ、今のところイベント時などのオープン日のみ開放していますので、スケジュールはホトリのサイトを見てもらえればと思います。今後は、通常オープン日も増えていく予定です。」

フク:「今後ホトリでは、どういったこと・ものを展開する予定でしょうか?」

saorinさん:「現在進行中のものでは、1年前に「ホトリ写真部」を立ち上げました。これは写真を記録としてだけでなく、作品として撮りたい人、展示をしたい人、写真好きな人と交流したい人などで構成されている活動で、現在は第2期生が入ったところです。1期生と合わせると総勢30人ほどになっています。撮影会や講評会、展示などを通して勉強や交流を行っています。また、5月から「ホトリ写真塾」がスタートし、ブツ撮りをメインにした初心者教室を皮切りに、今年7月からは写真家の野澤勝さんを招き、写真表現のゼミを開催する予定です。ここでは作品を創ることを中心に写真表現について考えていく中級者向けの内容を企画しています。」

フク:「写真を撮る行為そのものを楽しむだけでなく、表現する楽しみまでを扱うようになってきたのですね。」

saorinさん:「そうですね。ほかにも、私が得意とする写真の残しかた教室はもちろん、写真を色んな切り口で楽しめる講座をもっとたくさん用意したいなと思っています。こうした場所を持つことで次にやりたいこと、やるべきことが浮かんでくるようになりました。ホトリの近くにもギャラリーが幾つか立ち並ぶようになってきています。こうした活動からホトリだけではなく、写真の世界、この地域が活気づいていけばいいなぁって思っています。ちなみに、ホトリ写真塾は現在も参加者を募集しています。興味がありましたら是非、ホトリのサイトをチェックしてみてくださいね。」

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写真企画室ホトリ http://fotori.net/

Facebook  http://www.facebook.com/fotori.net

※1)フォトイメージングエキスポ(2005年〜2009年):毎年3月に東京ビッグサイトで開催されていた写真関連商品の総合展示

いかがだったでしょうか。わたくしフクにお洒落センスがあるか・・・というところは別にして、写真のあり方はひとそれぞれで、その飾り方、表現方法もまたひとそれぞれなんだなと思ったりしました。正解なんてものはきっとありませんので、皆様もご自身の表現方法をいろいろ試してみてはいかがでしょうか。

それではまた、宜しくお願い致します。

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