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2016年07月22日 | Posted by ギャラリーチーム

エプサイトギャラリー 帆刈一哉写真展「カゴの中で見る夢」

こんにちは 
エプサイトでは先週金曜日から帆刈一哉さんの写真展が始まっております。

160715_▲本展のメインビジュアル 薄暗い部屋の中のベッド 謎めいています。 会期前に「いったいどんな写真展なのでしょう?」といったお問い合わせをいただいたことも!!

帆刈さんはフリーランスのフォトグラファーです。仕事の合間に旅に出て作品のための写真を撮るのが帆刈さんの制作スタイル。帆刈さんが本作の舞台になる北ヨーロッパのラトビア共和国を訪れたのは、ちょうど1年前の初夏でした。
ラトビア、、、恥ずかしながら私は、「バルト海のあたりの国なのかな??」ぐらいの知識で、どういったところなのか知りませんでした。首都の名前は? 言葉は? 名所は? そもそもなぜ帆刈さんは旅先にラトビアを選んだのでしょう??

帆刈さん:ラトビアに行くのは初めてでした。 本当はロシアに行ってみたかったのですが、入国までの手続きが思いのほか大変なので断念しました。それで周辺の地域に目を向けて、あまり予備知識を持たずラトビアを選んだ感じです。

まず最初に向かったのはラトビアの首都「リガ」。日が暮れる頃ホテルにたどり着き旅の初日は終了。物語は2日目から始まります。

帆刈さん:翌朝早く目が覚めたら、雨が降っていて、ゲストハウスの天窓しかない屋根裏のような部屋とあいまってちょっと窮屈な気分になったのを覚えています。

メインビジュアルとなった写真はまさにその時の写真なのですね。
ゲストハウスの小さな部屋に一人、ポツンと。。。 しかも外は雨。 鬱屈とした気分が、良くわかる気がします。海外への一人旅は期待と不安が入り混じった気持ちになりますが、旅のはじめは誰もが不安のほうが大きいのではないでしょうか。

_dsc1635▲帆刈さんの「旅の物語」は冒頭のゲストハウスのシーンから始まり、続いていきます。ギャラリーをぐるっと回って作品を見ると、帆刈さんがラトビアで心を留めたものの軌跡、また旅の間に変わっていく帆刈さんの心境が見てとれます。

今回の展覧会の雰囲気をいっそう盛り上げているのが、なんといってもプリントです。帆刈さんが展示用にセレクトしたのは、「エプソン プレミアムサテンキャンバス」。 旧市街の古い教会やレンガ造りの建物、民族衣装の人々など、一つ一つの描写がキャンバスの雰囲気が良く合ってて、おとぎ話の一コマを見ているような感じもします。

Img_3797▲このようにキャンバスを木枠張って仕立てています。あえて少しグリーン寄りに仕上げた色合いとあいまって、夢と現実の狭間の世界を見ているような感覚に。

帆刈さんにキャンバスのプリントについての印象をお聞きしました。

帆刈さん:インクジェット用のキャンバスを使ったのは今回初めてです。使った印象としては、まず思った以上に色のりがいいしシャープだということ。あとは色の調整をするときに、わずかな調整だと結果が出にくい。通常の写真用紙より調整幅を大きくしないと結果が出にくいということが分かりました。

そうなんです。キャンバスですが、写真としての描写はしっかりと保っています。こういったインクジェット用のキャンバスはエプソンのプリンターではA2ノビサイズの「SC-PX3V」以上の大判サイズのプリンターで対応しています。エプサイトのショールームに実機とサンプルがありますし、またエプサイトのプライベートラボでも使用できるメディアですので、興味のある方はぜひ!


帆刈さんが旅の終盤に訪れたのは、ラトビアの西部に位置するアルスンガ村。この村のスイティ地区には「Suiti/スイティ婦人たち」という伝統のある合唱団があり、帆刈さんはちょうど夏至祭りの前夜を祝うために唄っている村の方々に出会います。

024▲豊かな緑の中で唄うSuitiの皆様。おとぎ話のようなシーンです。 この後、帆刈さんは、Suitiの方のあるご家庭にいきなり食事に招待され、地元の方々と共に夜中までビールをご馳走になったとのこと!  こんな思いがけない出会いがあるとは、、、  

この作品は、帆刈さん自身の旅の記録であるのですが、不安や期待、思いがけない世界を知る喜びなど、知らない異国の街を訪れたときに私たちの誰もが感じる思いを表現しています。 その時いろいろな思いを抱えていても、やっぱり一歩を踏み出して旅に出るっていいですね。そんなことを作品を通じて教わった気持ちです。

繊細な色彩で描かれた帆刈さんの作品、ぜひみなさんご覧になってくださいね。 

2▲帆刈一哉さん 実は奥様の鮫島亜希子さんも2010年エプサイトで展覧会を行いました。ご夫婦そろってエプサイトでの展覧会開催は初です! 

帆刈一哉写真展 「カゴの中で見る夢」 2016年7月15日~8月4日 ※日曜休館・入場無料




 








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2016年07月05日 | Posted by ギャラリーチーム

エプサイト 星野尚彦写真展 「point of view」

みなさんこんにちは 
エプサイトでは只今、星野尚彦さんの展覧会「point of view」の真っただ中です。

星野さんはコマーシャルの第一線で活躍するフォトグラファーです。 2006年までサントリー、宣伝部制作室に所属し、その後独立。 私たちがテレビや街中で日々目にする数多くの広告写真やCFの制作に携わってきました。
多忙極まる星野さんですが、昨年は六甲山国際写真祭のポートフォリオレビューに参加、その際レビュアーから招待され、中国、深圳(Shenzhen)での写真祭に出展、星野さんの作品はコマーシャルフォトの領域を越え、広く認知されはじめています。

星野さんの今回の作品「point of view」、テーマは1枚の写真の中に「時間のキュビズム」を成立させること。作品は分割して撮った写真を組み合わせたものです。星野さんがその場にいた数秒間、または数分間の間、時には歩きながら写真を撮り続けて、その後処理で1枚の写真につなぎ合わせています。

160624_▲撮影は「マミヤ7」にパノラマアダプターを装着し、35mmフィルムで撮影。展覧会のメインビジュアルとなったこの作品はなんとネガ2本分の情報が組み合わされています。圧巻です!

2▲この作品を拡大してみるとご覧の通り、大勢の人たちが少しずつ時間の軸がずれた状態で一枚の写真の中に閉じ込められているのがお分かりいただけるかと思います。 小さなフィルムの中にこれだけの人たちが閉じ込められていたのかと思うと驚きです。改めてフィルムという媒体のすごさを感じました。そしてそれを再現したスキャナーもスゴイと。。。

1▲こちらは別の作品、フィルムをつなぎ合わせることで、赤いTシャツの男の子が階段を下りてくる時間そのものが表現されています。

そもそも写真とは瞬間を切り取るツールとして発展してきました。星野さんの今回の作品はそれを逆手にとったもの。瞬間を重なり合わせた星野さんの作品は、一瞬でその場を切り取った写真よりも、何故かその場の空気が濃密に閉じ込められているかのように感じられるのが不思議です。

星野さん:その場にいた時間も記憶になると一瞬になってしまう。だから時間の経過そのものを写真で表現する作品を作ろうと思いました。

同じ場所を定点ではなく、あらゆる角度から、時には建物の側面にも回り込んで写す。時間の流れだけではなく視線の流れも組み合わせた不思議な作品です。まさにキュビズム!

ところで撮影したネガはどのようにつなぎ合わせているのでしょう??

星野さん:スキャナーはエプソンのGT-X970をずっと愛用しています。スキャンしたデータをPhotoshop上、レイヤーで重ねていきます。角度補正をして一枚につながるように、余分なところは消しゴムツールで消して重ねていきます。

そして、気になる方は気になると思いますが、この作品のもうひとつの不思議なところは、フィルムのパーフォレーションまで画像が写っているところです。

星野さん:実はアダプターのパノラマフレームを外して撮影するとパーフォレーションのところまで撮像されるんです。ファインダーでは見えていないところまで写るのが、「記憶のあいまいさ」とリンクしているような気がしたんです。 またパーフォレーションが写真と写真をつなぐファスナーのような役割をしてくれているように感じています。

さて、今回星野さんがこの作品を発表するのに当エプサイトギャラリーにご応募いただいたのは、最大限大きなプリントにしたかったというのが大きな理由だそうです。すべての作品を大判のプリントで制作されています。ギャラリー内をご覧ください。

01
▲見てください! 一番奥の写真は長さなんと4メートル。もちろんつなぎ加工なんかしていません! これはエプサイトギャラリーがこの場所に移ってから史上最大のプリントサイズです。B0サイズのプリントが小さく見える(笑 大判プリントで埋め尽くされたギャラリー内、圧巻です!! 

そして、この写真展のもう一つの見どころは今回なんとプリントは待望の新製品「SC-P2005PS」で制作したということ。エプサイトのプライベートラボでもおなじみのPX-20000の後継機種です。

Scp2005ps▲新しい64インチ対応モデル、「SC-P2005PS」。 同サイズでの前モデル「PX-20000」 を発売したのは2007年秋。ということは実に約9年ぶりのモデルチェンジです! 本当に待ちに待った待望の新製品です。

ちなみに64インチというのは、1626mm。 用紙種類によって若干最大サイズが異なるのですが、星野さんにお使いいただいたプロフェッショナルフォトペーパー<厚手絹目>は幅1524mm。私が両手を広げても足りない長さで、一人で新品の紙をセットするのもままならない大きさです。

ちょうど大型作品だけでの展覧会を検討されていた星野さん、奇しくも約9年ぶりの新製品発売の時期と展覧会開催のタイミングが重なりました。これも何かの縁です。

3▲プリント制作中の星野さん(右側、左は星野さんの撮影アシスタントをつとめられる江川さん)、このときはまだ発売前でエプサイトのプライベートラボにもプリンターが入っておらず、 星野さんには急きょ社内の別の場所でプリント制作をしていただきました。 「エプソンの最新技術で最大限のプリントを作りたい」という星野さんの心意気に涙。。。

私もまだ実機に慣れておらず、プリント制作はドキドキハラハラでしたが、実際に使ってみて星野さんと口をそろえてやっぱり新しい機種のほうが絶対いい!と。 主な理由は以下の通りです。

1.印刷スピードがダントツに速い!
今までのPX-20000の印刷速度から比べると、プリントのモードにもよりますがおよそ3倍の速さ! たとえばPX-20000ではB0ノビサイズを高精細モードで1枚プリンターするのに30分近くかかっていましたが、新機種ははおよそ10分で完成です。

2.新 「UltraChrome PRO インクセット」でより深い黒の表現!
新しいUltraChrome PROインクは、ブラックインクが高濃度に進化。ダークグレーインクを新規搭載することで、ブラック、ダークグレー、グレー、ライトグレーと、さらに暗部のなめらかな階調表現が可能になりました。
 今までのPX-20000ではベタっとつぶれていた暗部も、細かく諧調を描き分け、その精度に星野さんも私も驚愕。黒が深くなったことで、プリントがより引き締まった印象に仕上がりました。

3.長尺プリントでも斜行しない!
実は今回の星野さんの作品制作で恐れていたことのひとつがプリントの斜行問題。今まではこれほどの長いプリントになりますと、最初に用紙をセットする際にほんのちょっとでもズレると2メートル、3メートルとプリントが長くなるにつれ、ジワジワと斜行印刷されてしまうことも。
ところが、この新モデルは新たに「用紙送り量変動補正機能」を搭載。プリンター本体に内蔵されたカメラが紙裏を1秒間に60回撮影し、紙送りのズレを検出。左右の差を補正しながらプリントを行うので、斜行することはありません。実際に今回のプリント制作で、こんなに大きなプリントでも1枚も斜行しませんでした。 アンビリーバブル!! 地味なようですが、これが実に大事な機能で大助かりでした。

このほかランニングコストの大幅ダウンなど、いいことずくめの新プリンター「SC-P20050シリーズ」です。
さらに詳しい情報はぜひこちらをご覧ください。 Sure Color  SC-P2005OX /SC-P2005PS


Photo
▲設営時の様子。これだけの大きなプリントなので、設置も一大事。みなさま、本当にお疲れ様でした。

02▲ギャラリー内には、チェコ、タイ、台湾、東京 様々な場所で撮影された作品が並びます。ギャラリーに来られた方々が、口々に「臨場感がすごい! その場にいるみたい」、「世界旅行をしている気分」と。。。 ライティングでまるでポジフィルムのように光を透過しているように見える、と言う方も。。。

写真展はまさにライブ。この場にいなければこの臨場感は体感できません。プリントに包まれて、あたかもその現場に自分もいるかのような不思議な感覚です。 写真を発表する手段としては写真集も、また今はwebサイトもありますが、星野さんの作品はこの空間でこの大きさで表現してこそ、なのです。

作品を提示する手段としての「写真展の力」をあらためて感じさせられました。
この大きさのプリントは中々みられません!最新プリンターの技術とあいまって、本当におすすめの写真展です。
展覧会は7/14(木)の15:00まで。
みなさんのご来場を心からお待ちしております。

エプサイト 星野尚彦写真展「point of view」

(オギー)

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2016年06月30日 | Posted by フク

フォトグラファーズレポート ~米屋こうじさん~

みなさんこんにちは、フクです。

今回のフォログラファーズレポートは、米屋こうじさんにお話を伺いました。

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<米屋こうじ(よねやこうじ)さんプロフィール>

1968年 山形県天童市生まれ

東京工芸大学短期大学部卒業/安達洋次郎・真島満秀の助手を経て

1993年よりフリーランスに

1994年よりアジア各国の鉄道を訪ねる旅に出かける

公益社団法人 日本写真家協会(JPS) 会員

~鉄道への興味~

フク:「米屋さんが鉄道写真を撮り始めたのは、鉄道への興味と写真への興味、どちらが先だったのでしょうか?」

米屋さん:「そもそもどちらが先というのはなく、実に自然な流れで興味が湧いていました。強いて言うなら鉄道だと思います。もともと私の母が山形県を走る奥羽本線天童駅の売店に勤めていたので、小さい頃から駅が身近にありました。よく駅のまわりで遊んだり、駅に入ってくる列車を見たりしていました。また祖父が国鉄の職員で、昔は母の勤める駅の駅長をしていたので、鉄道への興味は幼少の頃から自然とありました。そして気がついたら家にあったハーフサイズのコンパクトカメラで列車を撮るようになっていました。」

フク:「確かに身近ですね(笑)。」

米屋さん:「それだけ近い存在でしたし、逆にそこくらいしか遊ぶところがない田舎でした(笑)。」

フク:「本格的に写真を撮ることを意識されたのはどういった経緯だったのでしょう?」

米屋さん:「初めて一眼レフカメラで鉄道を撮ったのは、中学生の頃でした。当時「青春18きっぷ」が登場しまして、5日間ほど友達と愛知県と長野県を走る飯田線に乗りに旅行をしました。この時、家用の一眼レフカメラで写真を撮りました。」

フク:「中学生でいきなり5日間も友達と旅行ってすごいですね。」

米屋さん:「当時は夜行の普通列車も各地に走っていましたので、宿が無くても一晩中列車の中で過ごせたのです。また一緒に行った友達のお父さんも国鉄の職員でしたので、国鉄の保養所を少し安く利用していました。」

フク:「この時は写真撮影が主な目的だったのですか?」

米屋さん:「いわゆる「乗り鉄」です(笑)。撮ることを意識したのは高校の頃になります。きっかけは、扉が自動で閉まらないような古い客車が地元を走っていたのですが、それがお役御免になり新しい車両になったことでした。」

フク:「扉が閉まらない?」

米屋さん:「ええ。昔の客車は座席のある客室と、出入り口のある、いわゆる「デッキ」が分かれていて、デッキの扉が開きっぱなしだったんです。デッキには雨は入り込みますし、冬は雪が吹き込んで積もるような車両でした。夏はデッキに立って、入ってくる風で涼んだりして・・・四季を感じる列車でしたね(笑)。それが安全性の問題で廃車になり、好きだった鉄道の風景が目の前から姿を消してしまったのです。この時写真に撮っておけばよかったという思いや、身近にあった鉄道の何に魅力を感じているかが少し見えた気がして、写真をやろうと思ったのです。」

米屋さん:「また、当時ある鉄道雑誌のグラビアで、客車の中の何でもない日常の光景、それこそお弁当を食べている人や、学生がタバコを吸っているシーンなどで構成された写真が掲載され、衝撃を受けたのを覚えています。私はいわゆる列車の顔と車体が写っている「編成写真」や、風景と列車の写真ばかり撮っていて、そうした日常的な光景の魅力に気付かされたのも理由の一つです。」

フク:「そこから東京工芸大学短期大学部へ入学されたのですね。」

米屋さん:「東京へ行っても鉄道写真を撮りに、よく旅行に行っていました。一つ上の学年に小林紀晴さんがいまして、彼に誘われて報道写真部に入部し、一緒に上野駅へ撮影に行ったりしました。でも、学校全体で鉄道写真をやりたいと考えている人は少なかったと思います。」

~「外へ出たい」から「海外へ出たい」へ~

フク:「東京工芸大学短期大学部を卒業されてからはどういった経緯でフリーランスになったのでしょうか?」

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米屋さん:「卒業後最初の1年は広告写真の事務所へアシスタントとして勤めました。広告の撮影なのでほとんどがスタジオでの撮影になります。すぐに太陽の下、外で撮影をしたいと思うようになり、1年でそこを辞め鉄道写真家の真島満秀さんのアシスタントになりました。」

フク:「真島さんのアシスタントへはどういった経緯だったのでしょうか?」

米屋さん:「広告写真の事務所にいた当時、小林紀晴さんと一緒に撮影した写真がある鉄道雑誌のモノクロページで連載されたのです。そこで調子に乗りまして、よかったら御社で働きたいと申し出たんですね(笑)。編集部では雇えない状況だと断られたのですが、真島さんを紹介してくれました。」

フク:「屋内での仕事から急に解放された感じですね。」

米屋さん:「そうですね。以前の職場では私の上にアシスタントが何人もいましたので、機材やライティングの準備はしますが、カメラを持つことはありませんでした。しかし真島事務所では、いきなりカメラを持たされ、撮影に出されました。また当時は新幹線のぞみが走り始めた頃でしたので、ロケに同行して、新幹線の撮影を経験することができました。」

フク:「ところで真島事務所を3年で退職され、フリーランスになったのはどうしてなのでしょうか?」

米屋さん:「仕事の不満ではなく、「結局僕自身は何がしたいのか?」ということを考えた結果でした。覚えているのは、深夜にロケから帰ってきた時テレビをつけたら大平原を走る列車を空撮のように撮っている映像が流れていたのです。それを見た時に「世界には計り知れないような魅力的な場所がある。海外に行って写真を撮りたい」と思ったのです。真島事務所で海外に行くことは無かったのですが、海外の鉄道をテーマに自分の作品を撮ろうと思い、25歳でフリーになりました。」 

~鉄道は人を気遣うことの大切さを教えてくれる~

フク:「そこから東南アジアの鉄道を撮るようになったのですね。」

米屋さん:「タイがスタートでした。タイという国を選んだのは、鉄道雑誌の編集者に「ひと昔前の日本の鉄道風景が今も残っている」と教えてもらったのがきっかけです。初回はその編集者が再び旅行に行くタイミングで同行させてもらいました。日本では見ることのできなくなった懐かしい鉄道の風景に魅了されました。例えばボックス席で相席になった人同士が仲良さそうに会話をしたり、食べ物を分け合ったりという光景です。束の間の出逢いで家族のようにコミュニケーションをとる姿は、まさに僕が山形の田舎で見ていた光景でした。その大切さや魅力を記録するために通うようになりました。」

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米屋さん:「そういうとかっこいいですが、国内で作品づくりをしようとした時に仕事との切り替えがうまくいかず、作品を撮っていても「これはひょっとしてあの雑誌で使えるかな?」という邪な思いが入ってしまっていたのが理由です(笑)。」

フク:「なるほど。仕事モードと作品モードを切り替えるためにも必要だったのですね。タイで撮影された作品は個展を経て、2003年に「Asian train love」で富士フォトサロン新人賞を受賞されています。また今月新宿のエプソンイメージングギャラリーepSITEにて「ときのしずく」を終えたばかりですが、この写真展についてお聞きしたいと思います。」

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米屋さん:「僕もフリーランスになって約20年ほど経ちましたが、その間に撮ってきた仕事や作品問わず、心に残る写真だなと思うものだけで写真展をしたのが「ときのしずく」です。展示作品に写っている風景は人々の中に蓄積された記憶の中にある風景、そうした時間の蓄積と僕が見続けてきた鉄道風景を展示しました。懐かしさもさることながら、人と人との距離感の温かさや、かけがえのなさを伝えたいという思いです。」

フク:「最後に、米屋さんは鉄道写真を通してどういったことを伝えたいとお考えですか?」

米屋さん:「鉄道は僕に生きていく上で人と人との関わりの大切さを教えてくれたと思っています。僕自身、引っ込み思案で自分から話しかけたりするのは苦手な方ですが、かつての日本やタイを中心としたアジアの列車旅で体験したコミュニケーションによって、今ではむしろ出会いを積極的に楽しむようになりましたし、人に気遣うことの大切さも教えてもらいました。今後も鉄道写真を通してそのあたりを伝えていけたらといいなと思っています。鉄道写真は近年人気が出てきているジャンルだと思います。これから鉄道写真を始める方、以前より撮っている方も含め、一歩ひいて鉄道は公共のものという意識と人を気遣う視野を再確認しながら、より鉄道の魅力を発見したり、豊かな作品づくりを目指して欲しいと思います。」

いかがだったでしょうか?

それではまた、よろしくお願いいたします。

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